行きたいところはたくさんありますが、今の状況だから行けないというだけでなく、そのときのいろんな状況や理由によって、旅に出られないこともたくさんあります。
そんなときはiphoneの中にある写真を眺めて、行ったときのことを思い出し、心の旅に出かけます。
パリに行くことがあれば、必ず行きたいと思っていた場所がありました。
それは、「クリュニー中世美術館」。
目的は「貴婦人と一角獣」というタペストリーを観に行くことでした。
「貴婦人と一角獣」は、日本でも展示されたことがあり、大変有名なタペストリーですが、全く知らず、初めてその存在を知り、目にしたとき、とても衝撃を受けました。いつか必ず本物を観に行きたいと強く願っていました。
あるとき、休暇を取ってパリに行くことを決め、本物を目にする日が来るとは!と心踊りました。
あまり大きな美術館ではないので、「貴婦人と一角獣」がある場所はすぐにわかるだろうと思っていたのですが、なかなか見つけられず、もしかしたら他の美術館に貸し出されているのかもしれないと思ったとき、角の暗闇にみんなが引き込まれていく姿が見えました。
こ、こ、これは、、、
タペストリーの一部をデザインした暗い通路を進んだ先にありました、「貴婦人と一角獣」のタペストリーが!
何時間でも眺めていたいくらい素敵でした。
写真ではサイズの都合上小さく見えますが、とても大きなタペストリーなのです。
1500年ごろに織られたもので、詳細は不明な部分が多いようです。タペストリーは6枚からなる連作で、「味覚」、「聴覚」、「視覚」、「嗅覚」、「触覚」を示したものとされていて、もう一枚は「我が唯一の望み」という文字が織られていて、謎のままだそうです。(上の写真のものです)
そのすべてが魅力的でした。
背景は、千花模様と呼ばれる花や動物が描かれた模様で、千花模様のタペストリーの代表とされているそうです。千花模様は「ミル・フルール」といい、CHECK&STRIPEでも紹介したことがある、リバティプリントのミル・フルールは、貴婦人と一角獣を参考にしたのかもしれないなぁとタペストリーを観ながら思いを馳せました。
長くなってしまいましたが、最後に、「貴婦人と一角獣」の存在を知ったのは、原田マハさんの『ユニコーン ジョルジュ・サンドの遺言』(NHK出版)という小説でした。
原田さんは大好きな小説家の一人です。そのお話はまた改めて・・・