nounours booksが会いたい人を訪ねるページです。
家のこと。部屋のこと。
ともに暮らす家族、日々のあれこれや布使い、などなど。
「room story」side A、side Bとしてお届けします。
01-side A
ハイジとペーターの家
風が冷たく感じ始めた、初秋のある日。
私たち編集部は、軽井沢へと向かいました。
目的は、ダンスコ日本総輸入元の荒井昭久さん、
ブランドディレクター・荒井博子さんご夫婦の住む「軽井沢の別荘」を訪ねること。
1990年にアメリカ・ペンシルバニア州で生まれたダンスコは、
今や日本では、ナチュラルファッションのマストアイテム。
私もフォトグラファーの大段まちこさんも、足元は「今日もダンスコ!」です。
(注 :「今日もダンスコ」は、博子さんのインスタグラムのハッシュタグになっている合言葉)
緑が続く道を抜け、やがて見えてきたのは、三角屋根のログハウス。
今回のタイトルは、博子さんが「アルプスの少女ハイジ」のように可愛らしい方、ということに加えて、
「ハイジに出てくるような、三角屋根のログハウスに住むのが夢でした」というエピソードから。
また、私たちを終始もてなして下さった夫・昭久さん(以下、あきさん)の、
男前&おちゃめなキャラクターから、勝手に「ペーター」と命名させていただきました(笑)。
二人がこの「ハイジの家」を見つけたのは、今から5年前。
神様の采配のような、偶然でした。
小学生の頃、毎年夏休みには家族で軽井沢に訪れていたあきさん。
「久しぶりに行ってみる?」
土地勘もあり、昔から好きなこの場所に向かった二人。
すると、「たまたま」停めた車の後ろに、別荘の物件広告が貼ってあったそう。
しかも、都心の一軒家やマンションとは比べ物にならないほど、リーズナブルなお値段にびっくり。
「えっ? もしかして、私たちも買える?と、にわかに盛り上がったんです」(博子さん)
(その価格は、都心を郊外に置き換えたとしても、たしかにお安い!
わたしたちはこの日、二人が実際に広告を見たという場所にも案内していただき、その事実を確認したのでした)
そこからはもう、「欲しい!」というイキオイに。
不動産屋さんに案内された1軒めが、まさにここ「三角屋根の、ハイジの家」。
「ほかにも10軒くらい勧められたので見に行ったんですけど、
この人(博子さん)、一回“ここだ!”と決めたら、ほかは全然興味なくて、明らかに気分も乗ってなくて(笑)。
僕は一応、全部見たいタイプなんですけど」
思い出し、苦笑するあきさんの言葉に、
「私、決めるのが早いんです(笑)。あそこしかないよ!っていう感じでした」と博子さん。
そんなやりとりも微笑ましく、この家のことや、
二人の「コミュニケーションの妙」についても、もっと聞いてみたくなったのでした。
「家よりもでかいベランダが、昔から憧れでした」とは、あきさん。
購入時にあったベランダは腐りかけていたため、理想通りに広く、作り直したのだそう。
ということは、住めるまでに結構、修繕などの時間がかかったのですか?
「いえ、ダンスコを始める前はずっとアメリカ暮らしだったせいもあって、
僕らはわりと、どこでも寝泊まりできちゃうタイプなんです。
だからこの家も、最初はTVもインターネットもなかったけど、
あまり気にせず住んでいました」(あきさん)
「キッチンも暖房もついていたし、
“最低限、暮らせなくはないよね”という感じでした」(博子さん)
違うところは認め合い、似ているところは楽しむ。
二人の暮らしがとっても楽しそうな理由は、そんなところにあるのかもしれません。
(雪の写真は、博子さん撮影によるもの)
出来るところは自分たちで。難しいところはプロの手で。
週末の度に通いながら、直しながら、
少しずつ、自分たち仕様の心地いい空間が整えられていきました。
「この家で過ごす、どんな時間が好きですか?」と尋ねると、返ってきたのは次の答え。
「朝、起きた時です。風が通る感じが気持ちいいので、ハイジの寝床のように、枕元の窓は大抵開けています。
起きたら外が雪で真っ白になっている、冬の景色も大好きです」(博子さん)
「中学生の頃から好きなホラー映画を観たり、プラモデルを作ったりしている時間でしょうか。
もともと都心があまり好きではなくて。自然がある場所のほうが落ち着きます」(あきさん)
そして二人の愛犬、ファンネルちゃん(ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグという、ポルトガル原産の犬種だそう)も、東京に帰る日は、車に乗りたがらないくらい、この家が大好き。
「自由にお散歩ができるからかもしれません」(博子さん)
二人共通のこだわりは、屋根に向かって煙突が伸びる、ドイツ製の「暖炉」。
「シアトルが暖炉のある街だったから」と、その理由を教えてくれました。
アメリカ・シアトルは、かつて二人が暮らし、「ダンスコ」と出会った運命の街です。
後編「side B」では、この日いただいた朝食の写真とともに、荒井さん夫婦の「ダンスコ物語」をご紹介します。
お楽しみに!
訪ねた方
荒井昭久・荒井博子
2008年より、アメリカ・ペンシルバニア州で生まれたコンフォートシューズ「ダンスコ」の日本総輸入元の運営をスタート。
ブランドディレクターの博子さんは、シンプルで上質なファッションセンスでも人気。
http://www.dansko.jp/index.html
CHECK&STRIPE ONLINE SHOP「11月の新しい布」の左メニュー「ダンスコ」で商品の一部をご紹介しています。是非ご覧ください。
撮影/大段まちこ 文/井尾淳子