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ROOM STORY

nounours booksが会いたい人を訪ねるページです。

家のこと。部屋のこと。

ともに暮らす家族、日々のあれこれや布使い、などなど。

「room story」side A、side Bとしてお届けします。

 

 

 

 

14-side B 

犬たちからのギフト

 

京都「Dog Cafe」オーナー・郡司明子さんにとって、人生の中で大切なものとは?

それは、「夫、犬、二拠点生活」であることを、side Aではお伝えしました。

そんな大切なもののひとつ、「二拠点生活」の場である、ご夫婦の琵琶湖コテージに、わたしたちnounours books編集部はおじゃましました。

郡司さんといえば、1997年に神戸で、まだ誰も思いつかなかった「犬連れOKのカフェ」をオープン(その後、カフェは京都の中京区に移転)した方。

人生において「犬が大切」ということは、ご経歴からも納得ですが、じつは犬を初めて飼ったのは、「30代で結婚してから」なのだとか。

そこで「犬が飼いたくて結婚しました(笑)」というコメントが飛び出して、「えっ!?」とびっくりする一同。

 

 

 

「大型犬を一人では飼えないと思いました。当時は、今ほど犬を飼っている人も多くはなくて。一緒に育てて、散歩をしてくれるような人がほしいなぁ、と」(郡司さん)

意外な事実が判明したものの、当の夫の昌彦さんは「事前にわかっていたので、それはまったく大丈夫でしたよ」とニコニコ。それならよかった…!のですが、では、郡司さんがそこまで犬との暮らしを切望するに至った理由とは、一体どんなものだったのでしょう?

「犬は、子どもの頃からずっと好きだったんです。でもなぜか、スピッツ、ミニチュアピンシャー、雑種等々、出会う犬はみんな子ども嫌いで、近づくといつも吠えられていました。だから飼っている子がうらやましくて、うらやましくて。“犬に好かれるには、やっぱり飼い主になるしかないのかな”と思い、親にお願いしたのですが、“三日坊主のあなたに世話はムリ”と、聞き入れてはもらえなくて」

ははぁ、なるほど。子ども時代、親に叶えてもらえなかった願いほど、「やりたい~!」と、思いが強まること、たしかにあります!

「結婚前、フリーランスでディスプレイの仕事をしていたのですが、犬に詳しい取引先の方といつも、犬の話をするのが楽しみでした。その方に、“いつかわたしが結婚する時がきたら、子犬をお祝いにください!”なんて話をしていたのですが、なんと本当に、その願いを叶えてくださったのです! 夫にも、犬をいただくことは了解してもらっていました。なので、犬を飼うために結婚したわたし、ということなんです(笑)」

夢を叶えた郡司さんは、お伝えしたとおり、その後は「Dog Cafe」のオーナーとなり、またドッグセラピー*のボランティアにも関わるようになり、そこで新しい友人も増えていったのだそうです。

(*犬とのコミュニケーションによって、高齢者のほか、認知症、自閉症などの症状をもつ人々に対し、こころや身体のリハビリテーションを行うこと)

 

 

 

この「琵琶湖ハウス」で過ごすのは、どんな季節で、何をして過ごしている時がいちばん好きですか?とも尋ねてみました。

すると、「どの季節も好きですが、やっぱり夏ですね。ドッグセラピーなど、ボランティア活動で知り合った友人みんなでワイワイと、美味しいものを食べて過ごすのが好きです。季節によって、料理の先生をしている友人が来ることもあって。おかげで、ずっと美味しいものをいただいています(笑)」とのこと。

「今週は、どんなもの、何を食べようか?」

週末が近づくと、金・土・日の3日間分のメニュープランについて、その時々で集まる友人たちとの相談が始まるそうです。

「みんなそれぞれで持ち寄って、協力できるのがいいですね。全部自分たちで考えるのは大変ですから」(郡司さん)

 

 

 

 

 

この日のランチメニューは、夏野菜のカレー(写真/下)。わたしたち編集部も、ご一緒させていただくことに(ごちそうさまでした!)。カレーを準備してくださったのは、郡司さんご夫婦が住むコテージのすぐ横に、トレーラーを構えている犬つながりのご友人。

ご主人を亡くされた後、一念発起して購入したトレーラーとのこと。人数が多く集まる週末は、こちらのトレーラー内のキッチンが大活躍するのだとか。

「トレーラーを購入した当時、わたしもプードルを2匹飼っていて、このきれいな琵琶湖で泳がせたい!と思ったんです。犬はもうお空に行ってしまったのですが、今も週末、ここで過ごす時間が本当に楽しいんですよ」というご友人の、人生の新たな暮らし方についてのお話も、そしてまた、郡司さんが「最近始めた」という、素敵な趣味時間についても、とても印象に残りました。

郡司さんの新しい趣味とは、ここでガーデニングをして育てたハーブや花を用いて、ハワイで有名な「レイ」を編むこと。専門家の先生のもとで、なんと、すでに2年間も本格的に習っているのだそうです。

「毎年、飼っている犬のお誕生日に、レイをかけてお祝いをしてあげている方の写真をSNSで見たんです。その様子がとてもかわいくて! わたしもやってみたくなりました」(郡司さん)

このコテージでは、友人たちとレイを編むことも時々、とのこと。

早速「教えてほしいです!」という流れとなって、取材タイムは急遽、郡司さんによる「レイの編み方ワークショップ」となりました(生徒はご友人と編集部スタッフ)。

 

 

 

コテージのまわりに育つハーブ、ゼラニウムやタイムを摘んで、ヤシの葉を原料にしたラフィアを水につけて…。

 

 

  

ラフィアにハーブや花を巻き付けていきます。

しばしの間、湖からの風に吹かれながら、熱心にレイを編む静かな時間が流れました。

(集中して、一同無言に笑)

 

 

写真は、郡司さんの完成品。2年間、先生について習っておられるだけあって、さすがの仕上がり。

レイとリースの違いはというと、「レイは身体にかけるもので、リースは家に飾るもの、というところですね」と、郡司さん。

 

 

完成したレイを首にかけてもらったココちゃんも、とっても嬉しそうなのでした。

調べてみると、ハワイにおけるレイには、「この出会いに感謝する」「繋がりを大切にする」という意味が込められているのだとか。

だんなさまも、「Dog Cafe」も週末コテージも、そしてご友人や新しい趣味も。思えば郡司さんのライフスタイルの源は、犬たちが起点となって出会い、繋いでいったものばかり。

豊かな時間のすべては、犬たちから郡司さんへの、ギフトそのものなんだなぁ。

そんなことを思いながら(&後ろ髪を引かれながら)、光溢れる「琵琶湖ハウス」をあとにしたわたしたちでした。

 

 

Column 暮らしの中の布使い

 

 

 

CHECK&STRIPEの布とお気に入りのパターンで、自分だけの一枚をつくるお仕立てメニュー「THE HANDWORKS」。「以前、ワンピースを作って、普段もよく着用しています」と、郡司さん。最近は、写真の「スイートスカラップ」という布でお仕立てをした、ノースリーブのブラウスがお気に入りだそう。(THE HANDWORKSは各SHOPでも承っております。お気軽にお問い合わせください。)

 

訪ねた方

郡司明子さん

犬グッズも扱う、犬と人にやさしい「Dog Cafe」(京都・中京区)のオーナー。夫と保護犬一匹と、京都と琵琶湖の二拠点暮らし。

 www.dogcafe.co.jp

 

 

撮影/大段まちこ 構成・文/井尾淳子

 

 

 

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