nounours booksが会いたい人を訪ねるページです。
家のこと。部屋のこと。
ともに暮らす家族、日々のあれこれや布使い、などなど。
「room story」side A、side Bとしてお届けします。
07-side B
nella(ネルラ)の名前のこと
CHECK&STRIPE代表の在田佳代子さん(@labmiさん)のお招きで、
保養所「nella(ネルラ)」にて、宿泊体験をさせていただいた翌朝。
ぐっすりと眠ることができたのは、
肌触りのいい、ベッドリネンがとっても心地よかったから。
(ベッドカバーに使われていたのは、side Aでもご紹介したカンタキルト。
ふとんカバーとシーツには、「CHECK&STRIPEオリジナル幅広リネン」が使われていました)
ゲストルームの窓の外には、ピンと張り詰めたような冬の軽井沢の光景が広がり、
幸せな目覚めのひと時を過ごしました。
ともに働く仲間と、寝食をともに過ごすこと。
そんな時間は、積み重なるたび、こころの財産になっていくもの。
「地方でのイベントや海外出張などで、スタッフと寝泊まりすることがよくあります。
そういう時間の大切さを感じていたことも、ここnella(ネルラ)を作った理由のひとつです。
もっと遡れば、学生時代の下宿生活でも、夜になるとみんなで同じ部屋に集まって編み物をしたり、テレビを見たり。
たわいのない時間が、今思うと、とても楽しい時間だったのです」(labmiさん)
さて。前回のside Aでは、nella(ネルラ)というネーミング・ストーリーについて、
「次回のお楽しみ」としたままでした。
名付け親は、リフォームの設計を担当した、建築家の中村好文さんなのだそうです。
「CHECK&STRIPEを運営している会社は、株式会社ラブロといいます。
これは、わたしが長く飼っていた犬、ラブラドールの“らぶ郎”が由来。
なので今度は、今飼っている犬の名前“ネル”から、保養所の名前をつけてあげたいと、中村好文さんにご相談しました」(labmiさん)
ほどなく、中村さんからはこんなご提案が。
「宮沢賢治の“銀河鉄道の夜”には、
主人公ジョバンニと旅をするカムパネルラという親友がいます。
その名前にちなんで、“ネルラ”とするのはいかがでしょうか。
うっかり“ねぐら”と発音しても、宿泊施設なので間違いではないから、
良いのではないかと思います」
また、「“銀河鉄道の夜”からの命名というのがロマンチックで、軽井沢らしいのでは」とも。
そうして、これ以上はない、素敵な名前が決まりました。
以前、軽井沢にある友人別荘宅で、中村さんも一緒に屋根に上って、ともに星空を眺めたことがあるというlabmiさん。
「ネルラの命名についてお話を伺って、あの時の星空を思い出しました」
ネーミングの由来のひとつ、“ねぐら”を象徴しているのは、LDKの天井のデザイン。
ゆるやかなカーブを描く木の天井を眺めているだけで、なんともいえない、温かな安心感がありました。
「この天井があるおかげで、マンションの一室ではなく、山小屋にいるような気持ちになれます。
“こういうふうにしてください”と具体的にお願いしていたわけではありませんが、
完成した天井を見てあらためて、中村好文さんの思い、感性が伝わってくるようでした」(labmiさん)
「天井のほかに、どんなところが好きですか?」と尋ねると、
「すべて気に入っていますが、キッチンがとっても使いやすいんです!」という答え。
「コの字型になっており、冷蔵庫、流し、作業台と、動線がとてもよく考えられています。
洗い物をする人、調理する人、盛り付ける人。
そう広くないスペースながら、3人くらいの人が同時に入って作業ができ、吊戸棚の収納もたっぷり。
あとはリビングの窓にある横長の障子もやさしい光が入って、気に入っています」(labmiさん)
「nella(ネルラ)を設計した中村好文さんから伺ったリノベーションのテーマは、「北欧」だったそうです。
北欧の冬は長く寒く、なかなか外に出ることができません。
そんな季節をどのように快適に、室内で過ごすことができるか。
そこを突き詰めて考えられているのが、
アアルトや、ポール・ケアホルムなどに代表されるフィンランドやデンマークの建築であり、
「冬がとても寒い軽井沢も、北欧建築のような設えと空間がいいのではないか」という提案でした。
「そのお話を伺い、以前旅をした北欧の街を思い出しました。
それは、暖かさに包まれるような部屋の灯りのもと、編み物や刺繍をしている人々の様子です。
北欧で手工芸が盛んなのは、冬の夜が長いからこそ、ということをその旅で知りました」(labmiさん)
また、そのイメージは手を動かすことが好きなCHECK&STRIPEのスタッフとも重なって、
「中村さんの提案は、空間と、そこで過ごす人を結びつけてくれそうな気がしました」と、labmiさん。
じつは中村さんとlabmiさんは、nella(ネルラ)以前から、長いおつきあいなのだそうです。
季節が暖かくなる頃に、中村さんが設計を手掛けたという、labmiさんの神戸の自宅についても、ぜひご紹介したいと思います。
お楽しみに。
Column 暮らしの中の布使い
リビングのソファには、CHECK&STRIPEのワークショップなどでもおなじみ。
ぬいぐるみ作家の金森美也子さんによる、ジャックラッセルテリアのだいごろうくんがちょこん。
「nella(ネルラ)の名前の由来、ネルも、もう一匹の「とこ」も、ジャックラッセルテリアなんです」(labmiさん)
撮影/大段まちこ 文/井尾淳子