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my favorite 私の好きな服 making story

『CHECK&STRIPE my favorite 私の好きな服』

発売記念座談会  後編

 

CHECK&STRIPE16冊目となるソーイング本『CHECK&STRIPE my favorite 私の好きな服』(主婦と生活社刊)の発売日のひと月ほど前、この本にご自分の好きな服のアイデアを寄せてくださった荒井博子さん(ダンスコ)、後藤由紀子さん(hal)、葉田いづみさん(グラフィックデザイナー)、引田かおりさん(ギャラリーフェブ)、そして本のスタイリングを手掛けた黒澤充さん(スタイリスト)にお集まりいただきました(会場:ギャラリーフェブ)。

 

 

 先程の撮影で、新しく、本で紹介したものとは違う生地でお仕立てしたアイテムを着ていただきました(詳細はまた後日公開します)。

 

引田さん みんなほんとそれぞれ違ってすてきでしたね。

 

荒井さん パターンも、選ぶ生地も、人それぞれですね!

 

引田さん 生地も平面で見てる時と形になったときでは印象が違う。

 

葉田さん 洋服は、やっぱり着て完成するっていう感じです。洋服のパターンや生地の良さも引き立ちます。

 

 今回は、人気のギャラリーやお店、ブランドのみなさんが自分の思い描く着たい服を形にするという企画のソーイング本で、読者にとってもいろんな楽しみを見つけていただける本になったと思います。またこうして違う生地のアイテムも紹介できるのがウェブ連動のいいところですよね。

labmi ほんとにそうなんです。CHECK&STRIPEだけの企画だけでは、なかなかできないようなデザインを提案してもらえてうれしかったです。本では、黒澤さんがほんとにすてきにスタイリングをしてくださって。これまで面識がなかったんですけど、ずっとファンだったから、おもいきってご連絡させていただいたんです。

 

黒澤さん ありがとうございます(ニコニコ)。

 

 

 

 

 黒澤さんは雑誌『アンド プレミアム』などでご活躍ですが、今回、書籍のスタイリングで、しかもあらかじめ着るアイテムは決まっているなど、だいぶ勝手が違ったと思うのですが。

 

黒澤さん そうですね。もともと皆さんがデザインして出来上がっている洋服なので、僕のイメージだけで世界を作りすぎるのも違うかなと。チェックさんのお客さんのことをしっかり考えて、自然な世界観を。自分なりにはよくできたんじゃないかなと思っています。

 

みなさん うん、すてきな世界観だった!

 

黒澤さん (照れながら)ふふ。ありがとうございます。

 

 本づくりに関して伺うと、葉田さんはソーイング本などのときいちばん大切に考えることはなんですか?

 

 

 

葉田さん そうですね。私の場合はわりと、撮れた写真次第でデザインが変わるかもしれません。

 

司会 そうなんですか。

 

葉田さん 今回は、やっぱりもう撮影の場所(鎌倉・インクギャラリー)がすごく気持ちよくて。カメラマンの濱田英明さんに、すてきな、いい空気感を撮影していただいたので、それを素直に形にするというか。小細工は必要ないなと思いました。

 

黒澤さん 撮影も楽しかったです。うん。

 

labmi 終始和やかでね。

 

 表紙は、荒井さん発案のスタンドカラーのヨークワンピース。

 

labmi 撮影の最後の最後に濱田さんが「ちょっと時間あるから行こう」って浜辺までタクシーに乗って行ったんですよ。

 

 波打ち際に立ったモデルの仁村紗和さんの笑顔がすてきでした。

 

 

 

labmi モデルさんも、いろいろ探してたんですが、スタッフの辻岡が、「この仁村紗和ちゃんという方、いいですよねえ」って。私もいいなあって思ったところに黒澤さんからメールがきて、「仁村さんはどうでしょう」と。

 

黒澤さん そうでしたね。

 

labmi 仁村さんは、女優さんでもあるから、すごくアンニュイな表現もしてくださるし、めっちゃ若々しい無邪気な表情もあって。

 

黒澤さん 今回の本のイメージだと、ふつうのモデルさんとは違うのかなあって思って。ぼく、昔、紗和ちゃんと一緒にお仕事してたので、ぴったりかもと。

 

荒井さん すごくいい出会い。

 

引田さん ほんとすごいですよね、そのlabmiさんのアンテナの高さ。それとやっぱり、このみなさんの組み合わせが素晴らしい。

 

labmi 黒澤さん、みなさんのデザインの個性を出しつつ、すごくナチュラルなかんじでスタイリングしてくださったかなって思いました。

 

黒澤 (勢いよく)ありがとうございます!

 

みなさん (ニコニコと見守るムード)

 

 

 

 お洋服の話に戻りますが、例えばほかの方のアイテムで気になるデザインとかありますか?

 

後藤さん カーリンさんが着られていたのがすてき。こういうかんじの開衿ワンピースで半袖はあまり見かけないなと思って。

 

引田さん わ、うれしい。

 

後藤さん ワンピースで、しなやかな生地の印象のものだったらあるけど、カーリンさんのチェック柄のは、さっきおっしゃってみたいにコートのようにも着られるし、いろんな季節で活躍してくれそうだなあって。使いやすそうです。

 

引田さん 真夏は、室内だとクーラーがききすぎてたり、外に出れば日差しが強かったりで、洋服にも迷いますよね。女性は冷え性な人も多かったりしますから、準備も色々大変。だから、ちょっと羽織りもののように着られるのがいいかなって。

 

labmi カーリンさんのもうひとつのアイテム、ジャンパースカートも、今の若い人たちにもすごく受けそうな感じがしました。

 

引田さん ジャンパースカートのよさをもっと知ってほしい! スポッと着るだけでちゃんとして見えて、着ていても楽だから。着こなしもいろいろ楽しめるし。この深いVってやっぱり女の人をきれいに見せてくれますよね。

 

荒井さん 顔がちっちゃくみえる。

 

引田さん そうなの。Vネックの切れこみを深くしてもらったことで、ちょっとしたモード感も楽しめる。そして、生地がすごくやっぱりいいです。

 

labmi え、ほんとですか。

 

引田さん あの荒井さんの黒いワンピース*なんて、一瞬シルクかなって。光沢があってきれい。

 

荒井さん やっぱり生地感って大切ですよね。

 

引田さん もうね、服はパターンと生地です。

 

葉田さん うんうん。

 

 

 

引田さん たとえば、19世紀の織機で織っているというTシャツとか着ると、 本当に気持ちいいんですよ。量産ができないんだけど、ゆっくり織るから空気を含むらしいんですね。そういった生地の差は知っておきたいことです。リバティプリントもすごく気持ちいいじゃないですか。アイロンもいらないし。

 

後藤さん それ大事ですねえ。暑い中、アイロンいやですもん。

 

引田さん ほんと、いやですよー。

 

 チェックさんの場合、生地の企画っていうのは社内で立てるんですか。

 

labmi そうです。ほぼほぼ今は国内でオリジナルで織ってるものが多いんですが、日々工夫しつつ。カーリンさんがおっしゃったように古い織機は同じように織ってもやっぱり違うんですよね。できあがりが。

 

葉田さん おもしろいですね。

 

引田さん そういうことをやっぱり多くの方に知ってもらいたい。そういう技術だったり、文化をなくさないように。「早くたくさん」っていうのをちょっとやめてもいい。1枚を大事に着るっていうことを考えられたらいいなと思います。

 

 

 

 そういえば、今回みなさんはソーイングされない方ばかり?

 

みなさん ごめんなさーい(笑)

 

葉田さん あ、私、作りました。前の本のデザインですが、パンツを。

 

みなさん すごい!

 

 洋裁も衿があったりボタンホールがあったりとハードルが高かったりもします。だからチェックさんのお仕立てサービスというのはうれしいですよね。この本が出るのを記念して、お仕立てイベントなどの予定は。

 

labmi はい。CHECK&STRIPEでも行いますし、引田さんのギャラリーフェブさんでも。同時開催みたいな感じで(ギャラリーフェブでの開催は終了)。

 

 作れる人は本を見て作っていただいて、それができない人はお仕立てしていただいて。

 

荒井さん 私、ソーイングは、老後の楽しみにしようと思ってて。

 

 なにか作りたいっていう気持ちはあるんですね?

 

荒井さん そうなんです。好きな生地で、気に入ったパターンの洋服、作りたいなあ。

 

後藤さん 自由な時間がたっぷりできたら。そういう時間を想像するのも楽しみですね。

 

荒井さん だからこの本は、そのときまで大切に保管しておきたいと思います。

 

labmi ありがとうございます。本では、みなさんのデザインを形にさせていただいて、すごく刺激的でした。ひとつひとつのこだわりに、なるほどーって。本ができると、お店のスタッフも「自分はこの生地でこれを作ってみよう」っていろいろ計画したりするんですよね。そしてまた、お客様がそれ以上にいろいろと楽しんでくださる。「わあ、ここにこれを使うんですか」みたいなことが起こって、その驚きがすごくうれしいし、楽しい。今回の本はとくに、いつもと違う形でみなさんにデザインを提案していただいたので、どんな反応があるかすごく楽しみです。今日は、みなさんとお話しができてよかったです。ありがとうございました!

 

みなさん ありがとうございました~! 

 

 

*印のついた洋服は後日公開いたします。

○座談会に参加していただいたみなさん

荒井博子さん アメリカ生まれのコンフォートシューズ「ダンスコ」を日本に紹介、ブランドディレクターを務める。https://www.dansko.jp/

後藤由紀子さん 沼津市の人気雑貨店「hal」店主。近著に『毎日のこと、こう考えればだいじょうぶ。』(PHP研究所)https://www.instagram.com/halnumazu/?hl=ja

葉田いづみさん グラフィックデザイナー。本書のデザインも担当。http://izumihada.com/

引田かおりさん 吉祥寺「ギャラリーフェブ」とパン屋「ダンディゾン」を営む。『青空 そよかぜ 深呼吸』(大和書房、6月11日発売)など著書多数。https://hikita-feve.com/

黒澤充さん スタイリスト。雑誌「アンド プレミアム」などでキュートな世界観を展開。

 

撮影・大段まちこ 文・太田祐子(タブレ)

 

 

 

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