2024年3月22日に文化出版局より、CHECK&STRIPEの新刊『COLOUR BOOK 色を楽しむソーイングブック』が発売されました。
前編の01に続いて座談会メンバーは、labmiことCHECK&STRIPE代表の在田佳代子さん、CHECK&STRIPEのスタッフで、
今回の本でも制作進行や小物デザイン担当をしためがねさん、フォトグラファーの大段まちこさん、スタイリストの荻野玲子さん、
文化出版局の編集担当の三角紗綾子さんという豪華メンバー。
CHECK&STRIPEのソーイングブックが生まれるプロセスを、ぜひ一緒にお楽しみくださいね。
ー今回も、ページをめくる度に「着てみたい!」「つくってみたい!」とわくわくするかわいい服がたくさんですよね。早速ですが、みなさんのお気に入りの洋服について、教えてください。
荻野 個人的にいちばん好きなのは、「ブルー」のページにある「チャイナジャケット」(写真上)です! かわいらしい印象のものが多い中で、着るとちょっとハンサムな雰囲気になるところがとても好きです。
大段 チャイナジャケットは新鮮だなとわたしも思いました。
荻野 そうですよね。本ではTシャツを合わせていますが、季節によってはタートルに合わせたり、その色や襟元に見えるトップスの色だったり、少し袖をまくって、下から見える服の色を楽しんだり。自分で着ることを想像したときに、着方の幅が広がるのがとっても楽しいアイテムだなぁと思いました。つくる布によってはシャツ感覚で前を開けて着てもかわいいですよね。写真(上)のようなサロペットに合わせたり、ワンピースの上に羽織ったり……。自分でもつくってみたい!と思いました。
ースタイリストさんならではのアドバイス、とても参考になります!
labmi 本当ですね。ソーイングをする方にとっても、このチャイナジャケットは完成したときの達成感があるだろうなと思います。
めがね ボタンの部分は、チャイナ服に使われる「釈迦玉」と呼ばれるもので、細長い共布を結んでつくります。もちろん、そのつくり方は本に掲載されています。
ーお話を聞いていたら、つくってみたくなりました! …でも、ソーイング初心者には、難しいですか?
めがね 仕立て自体は、そこまで難しいものではないんです。わりと簡単につくれるので、ボタンの部分だけ、「ちょっとチャレンジ!」という感じかなと思います!
ー今回の本で、「こんな洋服をたくさん載せたい!」という思いについてはいかがでしょうか?
三角 「読者のみなさんがつくりやすい服」というのは念頭にありました。それで言うと、袖つけのないブラウスは多くの方にチャレンジしていただきたい服ですね。「ローズガーデンのブラウス」(写真上)と「ホワイトセージのブラウス」(写真下)の2種は、首元や襟元のフリルのデザインが違いますが、ベースのパターンは同じなんです。着丈もちょっと今っぽいですし、二の腕も隠してくれますから、いろいろなファッションの人が着られるブラウスなんじゃないかな、と思います。洋裁ごころにもぴったりの春夏のブラウスなので、おすすめです。
labmi 「ローズガーデンのブラウス」と「ホワイトセージのブラウス」のベースとなっているのが、「シンプルドルマンブラウス」(写真上)。イエローのページにありますね。ソーイング初心者の方は、まずこのブラウスからはじめられてもいいかもしれません。
三角 そうですね。シンプルな服を1つ、ご自身のサイズのパターンでつくっておくと、生地を変えたり、アレンジをしたり、何度も楽しめるのでぜひチャレンジしていただきたいと思います。
labmi わたしは、「ホワイト」のページにある、「ハイウエストのギャザーブラウス」(写真上)が、個人的に好きです。クロテッドクリームを食べている写真もかわいいですし、「CHECK&STRIPEオリジナルコットンパピエ」という、マッシュルーム色のコットンの布は着るとやわらかい印象になるので、どんな年代の、どんな体型の方にも合うと思います。これは、ワンピースのかたちでもご紹介しています。
ーそして洋服のデザインもさることながら、本のデザインも、とてもかわいいですよね。
三角 CHECK&STRIPEのソーイングブックのデザインでいつもお世話になっているデザイナーの本田喜子さんのアイデアには、毎回うれしい驚きがあるんです。予想外のものを出してくださるので。
大段 ほんとうに、本田さんのデザインは毎回感動します。今回もすべてかわいいんですけれども、とくに感動したのは、カラー別にさりげなく、ページの横にインデックスが入っていたところです。それもたんにテーマカラーをはめているのではなくて、イギリスのアンティークのステーショナリーについてるような、古い色合いのインデックスなんです。これは読者のみなさんにもぜひチェックしていただきたい、かわいらしいアイディアですよね。
labmi わたしも、このインデックスを見つけたときは感動しました!
三角 辞書っぽい雰囲気にもなって、とても面白いですよね。今回、本田さんが大段さんの写真と相性がいいように、厚みがあって、ふかっとした風合いのある用紙を選んでくださったんです。結果、少し分厚くなっているんですが、だからこそ、このインデックスが辞書のような役割として効いています。本というパッケージの面白さの設計が絶妙だなぁ!とほんとうに思いました。
ーまさに、教えていただかなければ読者にはなかなかわからないmaking storyですね! ものづくりスタッフのみなさんの、熱い情熱を感じます。
三角 ロンドンというと、レンガのイメージがあると思うのですが、本田さんが印刷前の色校で、「レンガの色の赤が足りないので、赤茶色のレンガの色にしてください」という、すごいこだわりの修正赤字を入れてくださったんですよね。本田さんご自身もロンドンで暮らしていたことがあるからなのかな、と。ロンドンらしい印象的なシーンは、印刷の部分にもこだわって再現できたのではないかと思っています。
ーそして表紙も、とてもロンドンらしい写真、デザインになりましたね。
大段 撮影場所は、ロンドンにあるコロンビアフラワーマーケットにあるヴィンテージショップなんです。このお店も、ロンドンに行くと、わたしは必ず訪ねるお店ではあるんですけれども、その大切な場所で撮影することができて、それが表紙にもなって、よかったです。
labmi モデルのモトちゃん(モトーラ世理奈さん)も、いろいろな表情でたくさんポーズをとって、粘り強く演じてくださったことが印象に残っています。このポットを開けて中を覗いている彼女の表情が、「お楽しみがいっぱい!」という雰囲気で、読者の方にも「ページをめくってみたいな」という想いへと共鳴していただけるといいな、と思います。
三角 表紙とからめていうと、今回のメインタイトルになった『COLOUR BOOK』の“COLOUR ”は、イギリス式のスペルを採用しました。そうしたことでニュアンスが出て、個人的にもうれしかったですね。これまでは“U”を使わない、アメリカ式スペルしか使ったことがなかったのですが、「この本のタイトルにするために、あのスペルを習ったんだな」と思ったんです。
一同 素晴らしい~!
荻野 わたしは、ずっと憧れだったCHECK&STRIPEさんの書籍に関わらせていただけたことが、本当に光栄でうれしかったです。わたしの親もパタンナーの仕事をしていたこともあって、子どもの頃から服をよくつくってもらっていたので、生地を見るのはとても好きだったんです。
labmi そうでしたか。ありがとうございます。
めがね 前編01でも少しお話が出ましたが、「イエロー」のページで登場する「CHECK&STRIPEオリジナル洗いざらしのハーフリネンブロックチェック」という生地は、工場は変わっていますが、もう15年ぐらい前から扱っているものです。でも、この同じ生地をつくり続けることの良さを、今回の本では伝えられたらいいな、という思いはありました。たとえば5歳のときにお母さんがつくってくれた服の生地が、その人が20歳になっても売っている。さらに10年後、今度はお子さんに同じ生地で服をつくってあげることもできる。大段さんもよく「わたし、ずっと同じことしています」とおっしゃるんですけども、その変わらないことの良さを、この本で実現できたのではないかなと思います。
labmi ほんとうに、そうですね。ずっと長くものづくりをご一緒している大段さん、そして今回初めて参加してくださった荻野さん、素敵な本に仕上げてくださった本田さんと三角さんに、こころから感謝いたします。自分自身にとっても、本づくりの機会があることはとても幸せなことです。世界観を表現できる場所であると同時に、お客さまにとっても、「どんな生地で、どんな服をつくろうかな」という楽しみ、夢を見ていただける大切な場所になることを願っています。
ーいいお話でした~(しみじみ)。書籍づくりを通じて、CHECK&STRIPEが長く愛されている理由がまた、見えてきたように思います!
好きなページを見て、好きな生地を選んで、自分でつくったりお仕立てをオーダーしたり、ページをめくる楽しさを何度でも、ぜひ味わってほしいと思います。
撮影/大段まちこ 取材・文/井尾淳子
『CHECK&STRIPE COLOUR BOOK 色を楽しむソーイングブック』(文化出版局)に使用した布をこちらのページで販売しています。
ぜひご覧ください。