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トラネコボンボン レッツゴー高知 

 

 

DAY 3

セブンディズホテルプラス(7days Hotel plus)へゴー!

 

故郷・高知で暮らす中西なちおさんの案内のもと、2泊3日の楽しい夏休みを過ごしたnounours books編集部。最終日、わたしたちは名残惜しい気持ちでなちおさんとお別れし、宿泊先「セブンデイズホテルプラス」へと向かいました。

はりまや橋、商店街にほど近い場所にあるセブンデイズホテルプラスは、なちおさんともゆかりの深い場所。代表取締役・川上圭介さんのお母さま、創業者の川上絹子さんがオーナーの時代に、カフェメニューを考案されたこともあったとか。

「こちらはビジネスホテルの使いやすい価格なのに、細部にわたり、お母さまがオーナーの時代からの美意識と気遣いが行き届いていて、さっぱりと気持ちがいいところなんです」(なちおさん)

 

 

 

 

 

なちおさんの説明どおり、館内は光と風、アートに溢れた気持ちのよい空間が広がっていました。

「母も、呼んできますね」。代表・圭介さんのお気遣いで、前オーナーの絹子さんも来ていただき、お二人揃ってのお話を伺うことができました。

もともとこの場所で、創業50年のガソリンスタンドを経営されていた絹子さん。「石油輸入の自由化、規制緩和で、子どもたち世代が後を継ぐのは厳しいだろう。それよりも、本人たちが“継いでいきたい”と思えるような事業に変えよう」と、一念発起でホテル業へ転身。当初はビジネスホテルのチェーン店としてオープンしましたが、その後、独自のコンセプトで独立。

「母はもともとアートや建築に造詣が深くて、“ロビーには舟越桂の彫刻の絵と、ル・コルビュジエの椅子を置きたいんだ!”とか言って、チェーン店だった時から、看板などの仕様を全部、変えてしまったんです(笑)」という圭介さんのコメントに、「自分がいいと思うものを置きたくて。頭の中に、こうしたい!というイメージが最初からあったんです」と、笑う絹子さん。

そんなエピソードを聞いて、この素敵な空間のルーツがすとんと、腑に落ちました。

 

 

 

 

 

今年(2022年)リニューアルされたばかりという、キッチンつきのお部屋を拝見することも、セブンデイズホテルプラスを訪れたわたしたちの旅の目的のひとつでした。

 

 

 

 

 

「以前から、日曜市で買った野菜を新鮮なうちに調理できるような、キッチンつきの部屋をつくってほしい、というご要望をお客様からいただいていたんです」(圭介さん)

キッチン付きのお部屋は全5室(スーペリアツインルーム2室/スーペリアクイーンルーム3室)。

宿泊料¥21,000~ (1泊/朝食付き。二名料金)

 

 

 

 

室内のキッチンには、調理道具も完備。



 

 

こちらは、スーペリアクイーンルーム内のキッチン。

 宿泊料¥15,000~ (1泊/朝食付き。二名料金)

 

 

 

なちおさんも長く愛用しているという、オリジナルのパジャマ(4,500円/税込)。

パジャマの上にあるのは、オリジナルアロマストーン付セット アロマオイル3m(1,500円/税込)。

 

 

 

客室内には、高知県出身の版画家・松林誠さんの作品が。松林さんのアートワークは客室以外にも、館内やオリジナルグッズなど、あちこちに散りばめられています。

 

 

 

圭介さん・絹子さん親子によると、この素敵なお部屋ができたのは、じつはコロナ禍がきっかけだったのだそう。

「パンデミックが起きて2年。キャンセルが続き、お客様ゼロの日が2~3ヶ月続いたこともあります。何かしなければ!と、必死で“できること”を模索していたとき、地域密着型の事業再構築で、補助金を申請できる仕組みを教わりました。無事に申請が通って、思い切って、このキッチン付きの部屋をつくることにしたんです」(圭介さん)

 

 

 

 

 

起死回生のチャレンジは、ほかにもありました。

「落ち込んでいても仕方がない。何か楽しいことをしようと思いました」と、絹子さん。その“楽しいこと”とは、「7days laatikko(セブンデイズ・ラティコ)」という名前がついた、写真の箱です。

「laatikkoはフィンランド語で、“箱”という意味です。この箱の中に、私たちが出会った高知の素敵な生産者さん、作り手さんによる旬の美味しいものを詰め込んで、月ごとにお届けするという取り組みを思いついたんです」(圭介さん)

「当初は息子と2人、落ち込んだ気持ちを抱えて東へ西へと奔走。でも次第に、“高知でこんなに美味しいものを作っている方がいるんだ!”という出会いを重ねて、なんだかどんどん楽しくなって、元気になっていったんです」(絹子さん)

 

 

 

 

 

 

写真は、2022年5月のlaatikko。高知でも稀少な高級卵、室戸海洋深層水を散布し減農薬で育てたハッピートマトなど、旬の恵みや美味しい食材がたくさん詰まっています。

毎月のlaatikko は、ひと箱11,000円(税込)。

セブンデイズホテル公式サイト内オンラインショップから、予約可能です。

山も川も、海も近い高知。その魅力に惹かれ、県外から移住してきた生産者さんも多いそうで、「きらきらした目でいきいきと、わたしたちの知らなかった高知の良さをお話してくださるんです。自分たちも、ただホテル業を続けるだけではなくて、いろいろな高知の良さを発信していこう!と思えてきました」(絹子さん)。

 

 

 

 

 

生産者さんたちから得た元気パワーは、「ホテル内にアンテナショップをつくる!」というチャレンジにもつながっていきました。

ショップの名前は、箱と同じく「ラティコ ショップ(aatikko shop)」。オリジナルグッズをはじめ、圭介さん&絹子さん2人の目利きによる、美味しいものが並びます。

 

 

写真上 版画家・松林誠さんデザインによる laatikko bag(3,000円/税込)。 

写真下 オリジナルエコバッグ 白・小(1,500 円/税込)。

 

 

 

松林誠さんのイラストがデザインされた、可愛いマスキングテープ(380円/税込)。 

 

 

 

不耕起・無肥料栽培で野菜を育てられている高知のいく農園さんのピクルス(1,580円/税込)。 

 

 

 

 

写真上 牧野富太郎博士 (牧野植物園)のクッキー缶(2,160円/税込)。 

写真下 セブンデイズホテルオリジナルクッキー缶(1,840円 /税込)。

中身はこだわりのクッキーの詰め合わせ。

 

 

 

7days×松林誠さんコラボのチョコ缶(2,160 円/税込)。

 

 

 

高知県佐川町にあるチョコレート工房、“ポワリエ・ショコラ”さんの "Amuse-bouche"は、フルーツやナッツのチョコレート5種。(950円/税込)。

 

 

 

写真中央は、山奥で自生したお茶の木を育てて茶摘し、手作業で釜炒り茶にしている「国友農園」の荒ほうじ(600円/税込)。写真右は、「国友農園」りぐり山茶の紅小春「和紅茶」(800円/税込)。

 

 

地元高知の炭焼き・竹細工作家、下本一歩さんによる「トング・菓子切り」(3,000円/税込)。

*写真の商品は、すべてセブンデイズホテル公式サイト内オンラインショップから購入可能です。

こだわりの品々は、どれもこれも欲しくなってしまう素敵なものばかり。しばしの間、お買い物タイムを楽しんだわたしたちでした。

 







 

心地よく気持ちのいいお部屋でぐっすりと眠り、旅の疲れ(…楽しい!ばかりでしたが)を癒やした翌朝は、焼き立てパンが並ぶ、洋食のビュッフェスタイルの朝食をいただきました。ヨーグルトには、高知産のしょうがジャムを添えて。

 

 

 

 

旅の最後に伺った、圭介さん&絹子さんのセブンデイズホテルストーリーは、「楽しいことをすれば、ちゃんと元気になれる!」という大切なことを教えてくれました。

さて、短い夏休みを満喫したわたしたちは、高知をあとにして帰路に。またいつかの「レッツゴー!」まで、しばしのお別れです。

なちおさん。「正しい夏休み」ガイドを、本当にありがとうございました!

 

 

中⻄なちお
絵本作家・料理人
2007 年より、「旅するレストラン」と称して店舗を持たず、季節や場所、テーマに合わ せ様々な国の料理を提案する、トラネコボンボンを主宰。
2011 年 3.11 震災後 避難先の友人に、何か送ろうかとたずねたところ「毎日動物の絵 を一枚送って」といわれてからホームページの blog「記憶のモンプチ」で毎日一枚動物 の絵を更新中。 近著に「猫と世界どうぶつ記」誠文堂新光社「トラネコボンボンのお料理絵本」MOE BOOKS「のうじょうにすむねこ」小学館など。

 

 

 

セブンデイズホテルプラス(7days Hotel plus) 高知市はりまや町 2-13-6 インフォメーションデスク 088-884-7111

https://www.7dayshotel.com

 

写真 大段まちこ 取材・文 井尾淳子

 

 

 

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