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チクチクてくてく神戸

チクチクてくてく神戸

神戸・芦屋・自由が丘・吉祥寺・鎌倉。

CHECK&STRIPEのお店がある街は、その周辺にも魅力的なスポットが本当にたくさん!

足を運んでくださったお客さまにおすすめしたい、スタッフ厳選、ご近所の名店をご紹介します。

ソーイングのお買い物の行き帰りもぜひ、寄り道を楽しんでくださいね。

 

 わたしだけの「ちょうどいい」を探して  ~MORIS

 

 

 

阪急神戸本線・六甲駅近くにある器のお店「MORIS」は、01でご紹介した喫茶店「六珈」から歩いてすぐ。古い集合住宅の中の一室にあります。

「六珈さん→ナダシンの餅で、おいしいおはぎを買う(01にてご紹介しています)→MORISさんへ、というのが、友人が神戸に訪れた際にご案内する定番コースなんです」とは、推薦者のlabmiさん(CHECK&STRIPE代表)。

MORISの店主は、ここ六甲で生まれ育ったという、森脇今日子さん。

「今日子さんのお店に対する姿勢を伺う度に、“ほんとうに、そうだな”と背筋がぴんとする気持ちになるんです」というlabmiさんのお話どおり、「自分の好きなことしかできないし、お客さまにも、好きなものしかご紹介できないんです」と、今日子さんは言います。

 

 

店主の今日子さん(写真上)。「それぞれのお客さまがそれぞれに、何か好きなもの、興味のあるものを見つけてもらえたらいいなと思っています」

 

 

 

MORISで扱うのは作家ものの器を中心に、キッチンツールやジャムなどの食材、暮らしの道具など。どれもが今日子さんの「好きなもの」であると同時に、実際の暮らしにも使いやすいものばかり。

「お店はモノを“売る”だけではなくて、使い方の提案をする場でもあると思っているので、わたし自身も持っていて使っているもの、使いたいと思うものを置いています」(今日子さん)

たとえば日高伸治さんの「サイズ違いのカフェオレボウル」(写真上)は、今日子さんいわく「わたしがこんなのが欲しかった!という提案」とのこと。小さいものはヨーグルトやひとり分のフルーツ入れなどに。大きいものはサラダボウルのように使ったり(この中で和えて、そのまま出せるスグレもの!)、小麦粉をこねたり、重さがあるので調理器具としても使いやすいそう。

「ヨーロッパでは陶器のボウルで料理をするので、そういうイメージでつくって欲しいと、作家さんにお願いしました」(今日子さん)

 

 

 

 

 

店内には、京都の金網専門店「金網つじ」のステンレス製足つき蒸し網(写真上)も、サイズ違いで揃っているのを発見。

「14センチといういちばん小さいサイズは、特注でつくっていただいたものです。15~18センチのお鍋を使うという方が多く、もともと金網つじさんがつくっているいちばん小さな蒸し網18センチが入らない、という声が結構多かったんです。でもこの14センチの蒸し網があれば、豚まんやパン、ひとり分の冷やごはんなども気軽に温められて便利です。わたしもちょうど昨日、小さいお鍋でビーツ1個を蒸したのですが、網のサイズがちょうどよかったです」(今日子さん)

たしかに、暮らしの道具における「サイズ」は、買うにも使うにも、とっても大事なポイントだなぁと思います。

「おじろ角物店さんの竹かご(写真下の左側にある、4段に積み上げているもの)は、MORISオリジナルで真四角のかたちです。わたしがお菓子をつくるので、丸いケーキを入れるためのかごが欲しくて、この真四角のかごをサイズ違いでつくっていただきました」(今日子さん)

 

 

 

「暮らしのサイズ」というものは、ほんとうに人それぞれ。

「ひとり暮らしの方でも、大きなフライパンでたくさん焼いて冷凍しておく、というスタイルの人もいるし、家族がいてもひとりずつ、小さいお気に入りの器やカトラリーを揃えておきたい、という人もいますね。いらっしゃるお客さまは、“自分が欲しいものはこういうもの”と、目的がある方が多いなと思います」(今日子さん)

「器を見て、盛る食べ物をイメージする」というのは、少々ハードルが高く、審美眼が必要なんだろうな、と思い込んでいたけれど……。じつは難しく考え過ぎていただけで、自分の暮らしさえよく知っていれば、おのずと欲しい器は見えてくるのかも?と、思えてきました。

「洋服のように、持っているアレと今日見たコレは合うし、使えそう、と思いながら買う人は多いし、楽しいですよね。また、好きだなと思ったもの同士はきっと合う、とも思うんです。そんなふうに器も暮らしも、わたしは同じようにとらえています」(今日子さん)

 

 

 

 

 

暮らしの楽しみ方を教えてくれる今日子さん。そのルーツは、やはり器屋さんを営んでいたという母・ひろみさん譲りのよう。今日子さんとひろみさんに器について、また食について尋ねると、お二人からいろいろな楽しいお話を聞くことができます。

「母が、この建物が昔から好きだったそうです。あるとき、ベランダの雰囲気から空きを見つけたようで、“ここでお店をしない?”と提案されたことからMORISは始まりました」(今日子さん)

 

 

 

「ところで、“MORIS”という店名の由来は何ですか?」と尋ねると、キリリとした今日子さんらしい、「なるほど」の答えが。

「ひとつは、お店の名前に限らずなんでも、省略して呼ぶことに抵抗があります。勝手ですが、“ファミマ”“ミスド”……と呼びますが、自分のお店は略されるのはなぁと思って。それで、略されないためには3文字だ、と思いました。あとは外国人のお客さまにも覚えてもらいやすくて呼びやすい、アルファベッドを使った名前……等々、最終的には、わたしの名字が森脇で、母の旧姓が森田だったので、“森の複数形”ということでMORISと寝ているときに思いつきました。ご先祖さまのおかげでいまのわたしはいる、という思いも込めています」(今日子さん) 

 

 

 

写真(上)は、今日子さんが最近出会ったという奈良の作家・畑中篤さんによる花器。

「作家さんに会いに行くときは、毎回とてもドキドキします。器は清潔感があってすっきりとしているものに惹かれるのですが、実際に作家さんにお目にかかると、ご本人も器と同じ印象の方ばかりなんです」(今日子さん)

 

 

 

今日子さんのお話を伺いながら、集められたさまざまなものを見ているうちに、「わたしも、もっと暮らしを楽しみたい!」という思いがムクムク沸き起こってきました。

そしてこの日、「底の深いジャムの瓶なども取りやすい」というジャムスプーンと、刃付きのバターナイフを購入。ちなみに毎朝大活躍で、(こういうものが欲しかったんだよね)と、使う度ににっこりとうれしくなっています。

そんな「わたしだけの、ちょうどいいもの」との出会い。それはきっと、MORISへの寄り道に、良きヒントが隠されているかもしれませんよ。

 

 

 

MORIS

兵庫県神戸市灘区八幡町2丁目10-11 メゾン六甲202

営業時間 11:00~18:00 

定休日: 月曜・火曜(不定休あり)*公式サイトのカレンダーをご確認ください。https://moris4.com

※掲載した商品は取材時のものです。お店に在庫がなくなっている場合もありますので、ご了承ください。

 

撮影/大段まちこ 取材・文/井尾淳子

 

 

 

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