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ソーイング・レメディー making story

CHECK&STRIPEのおとな服 ソーイング・レメディー

making story 02

 

2021年2月27日、CHECK&STRIPEの14冊目となる本が文化出版局より発売になりました。

(こちらのページで販売しています)

この新しい本の発売を記念して、撮影秘話など、貴重なmaking storyを全4回でお届けいたします。

VOL.2も引き続き、撮影を担当したフォトグラファー(&nounours books編集長)大段まちこさん、labmiことCHECK&STRIPE代表在田佳代子さん、CHECK&STRIPEのスタッフで、制作進行や小物のデザインを担当しためがねさんというメンバーでお届けします。

まるで「神様の采配!」と思えるような、理想のロケ地にたどり着くまでのエピソードとは?

 

 

イメージは「イギリスの薬草園」

 

 

ー前回は、labmiさんと大段さんの「イギリスふたり旅」(一昨年)が、今回の本『ソーイング・レメディー』のテーマのはじまりだったというお話からでした。

 

labmi &大段 はい。

 

ー当初は、イギリスで撮影プランを立てていたんですよね。たとえば、どんなロケ地を考えていたのですか?

 

labmi 草花や森のイメージがありました。大段さんが真っ先に提案してくださったのは、「チェルシー・フィジック・ガーデン」という薬草園でしたね。

 

大段 はい、そうでした。ロンドン中心部のケンジントン&チェルシー王立区にある、とっても素敵なガーデンなんです。調べると歴史も古くて、1673年に薬剤師協会が設立したそうで、ハーブを中心とした薬草を栽培しています。

 

めがね そこから、リバティプリントの柄についても、どんどんイメージが膨らんでいきました。

 

大段 今回のCHECK&STRIPEさんの本の世界観に合うのではないかな、と思いました。園内にはかわいいグラスハウス(温室)もあるのですけど、そういうところで撮影できたらいいですよねと、labmiさんともお話をしていたんですよね。

 

labmi CHECK&STRIPEでも、チェルシー・フィジック・ガーデンでワークショップをさせていただいたことがありました。園内の草花は自然で、個性的な植物も多く、大段さんの撮影する写真が目に浮かぶようでした。

 

 

軽井沢で見つけた、奇跡のガーデン

 

 

ー前回(01)では、コロナ禍のパンデミックの影響から、イギリスロケを断念されたと伺いました。でも、出来上がった本の写真を見ると、まさに「イギリスのガーデンそのもの!」ですよね?

 

labmi そうなんです。クレジットをご覧になった方は、もうおわかりかと思いますが、ロケ地は軽井沢です。でも、ここにたどり着くまで、いろいろありましたよね。イギリスを諦めて、次に挙がった候補は北海道でしたし。

 

大段 そうでした~。シェイカーボックスなど、ものづくりをして暮らしておられる素敵な方のご自宅をお借りできることになって、準備を進めていたのですが…。

 

めがね 今度は緊急事態宣言となり…。移動距離をさらに縮めることになりました。

 

ーハラハラですね。そこで、軽井沢が浮上したのはなぜですか?

 

大段 都内近郊のロケハンを続けて、状況を見ながら可能性を探っていたのですが。ある日labmiさんから、「軽井沢はどうでしょう?」と写真が送られてきたんです。そうしたら、「えっ? ここは日本なの?」と思うような素敵な写真だったのです!

 

labmi 毎夏、CHECK&STRIPEでは、軽井沢ハルニレテラスにある北欧家具と雑貨店「NATUR Terrace(ナチュール テラス)で、オリジナル生地の販売などのイベントを行っているので、ちょうど軽井沢にいたんですよね。それで、ふと思い立って車を走らせ、いろんなガーデンをすぐ見に行ってみたんです。

 

大段 あの時のlabmiさんのエネルギー&パワーはすごかったです!(笑)その日のうちに、かわいいロケ地候補の写真が次々と送られてきてびっくりしました。

 

めがね とくに、ロケ地に決まった「ムーゼの森 ピクチャレスク・ガーデン」は、本当にイギリスのようでしたね。

 

大段 本当に! しかもお庭を作っていたのは、なんとイギリス人のガーデナーの方だったんです。

 

ータイトルに続いてロケ場所も。運命に導かれたみたいですね!

 

めがね はい。なので、なんだかすべてが、結局つながっていったという。

 

大段 その後、わくわくしながら私もロケハンに行ったのですが、「チェルシー・フィジック・ガーデンみたいな花が咲いてる!」と思いました。晩夏の頃でしたけれど、日本の草花とは全然違っていて。ミラクル!と、感動しきり、でした。

 

labmi 整然としすぎていない中の、調和というのでしょうか。あるがままの草花の自然な感じの雰囲気が、日本特有の庭園とは違っていて、素敵でした。手を入れすぎていない美しさが、本のテーマにもぴったりで。ロケハンに行った時、大段さんは草や花だけでなく土の色や、光がきれいな時間をじっくり観察されていましたね。

 

めがね 実際の撮影は、感染者数が落ち着いていた10月でしたが、ギリギリ花がまだ咲いていたんですよ。

 

大段 落葉の一歩手前でしたね~。一週間遅れてたら、あの写真は撮れませんでした。

 

labmi このような情勢にあって、奇跡的に「うまくいく方、うまくいく方」に進んでいくことができましたね。

 

 

何度も縫って確かめて。「作り方ページ」制作秘話

 

 

ーイメージの世界を作り上げるカラーページの撮影が終わると、次はソーイングのための、実用(作り方)ページの制作もありますよね。

 

labmi&めがね はい!

 

大段 CHECK&STRIPEさんの本はとくに、イメージの世界と実用、両方がとっても大事ですよね。作り方のページは、どのくらいの期間でできるのですか?

 

めがね 編集部からうちに預かってからは、2ヶ月以上かかっているでしょうか。

 

ーそんなに! 

 

めがね 約1ヶ月間で、専属スタッフが確認します。実際の生地を本と同じ用尺で、、SML全サイズを作って、間違いなく作れるかどうかをチェックしていくんです。次にまた1ヶ月くらいかけて、ほぼ全員の社員スタッフで修正を見て、赤字を入れて、編集部に戻します。

 

大段 スリーサイズすべて作るというのは、はじめて知りました。ご苦労があるのですね。

 

めがね ありがとうございます(涙)。赤字が反映されたものが戻ってきたら、今度はMサイズだけ、もう一度作ります。

 

ー本当に何度も確認して、ソーイングブックは作られているんですね(しみじみ)。

 

labmi やっぱり何人かで実際に作ってみないと、間違いが見つけられないことがありますから。うちの縫製の熟練スタッフは慣れている人が多いので、大体の作り方を見れば縫えてしまうのです。でも初心者の読者の方の立場になって見て、わかるようになっていないといけないので、そこは何度も確認しますね。

 

ーなかなか知ることのなかった裏話をありがとうございました!

 

続く03回では、スタイリストの田中美和子さん、文化出版局の三角紗綾子さんをお迎えして、スタイリングや今回の作品についてなど、貴重なmaking storyをお届けします。お楽しみに!

 

撮影/大段まちこ 取材・文/井尾淳子

 

 

 

ソーイング・レメディー making story

 

 

 

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