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Winter issue  今野はるえさんとパリの蚤の市

 

 

昨年の冬、パリ在住の人形作家、1/2place 今野はるえさんがヴァンヴの蚤の市を案内してくれました。

週末のヴァンヴにはたくさんの店がたちます。

 

 

銀食器だけの店、古い紙を扱う店、

バイオリンを弾いている人や、かわいい犬たちもいて、とても賑やか。

 

 

中でも古いリネンやボタンなどを扱う店では

私たちはついつい足を止めて、時間を忘れてしまいます。

悩んでいると、お店の人に さっと声をかけて

値段交渉をしてくれる今野さん。

 

 

もうお店の人たちと顔なじみになっているのですね。

今野さんがウィンクすると、お店の人は笑って値段交渉に応じてくれました。

この日も小さなはぎれから大きなものまで、収穫はいっぱい。

 

 

パリの蚤の市で、古い布を選ぶこだわりについて、お話を伺いました。

「こだわっているのは、生地の質感や色柄です。

大きな柄は、人形服には向いてないと思いがちですが、

作ってみると意外にいい感じになることもあるので、見極めが難しいですが、

パッとみた瞬間で判断しています。

蚤の市を探していても見つからないことも多いので、

コツというより縁なのかもしれませんね」

 

 

すべての作品をパリで制作している今野さん。

パリに拠点を置く理由は?

「気ままにいられることが一番の理由です。

周りの目は一つも気にならない、自由なところが心地いいのかもしれません。

日本に比べると不便なことはたくさんがありますが、

それを受け入れられる大きな気持ちと、なんとかなるさの気持ちが大事かな、と思います。

 

 

バスに乗って、セーヌ川を渡っているとき。

カフェでぼーっと過ごすひととき。

友人とカフェでワインを楽しむ平日の午後。

蚤の市で、古い素敵なものと出会った瞬間。

街で見知らぬ人に、おせっかいなほど親切にされたとき。

そんなとき、パリに住んでよかったなと思うのです。

中でも、夏の日の夕暮れから夜までの長いひとときは、一番好きな時間です。

そんなパリでの時間を大切にしながら、一つひとつの作品を作っています。

 

 

蚤の市では、たくさんの古いものに出会えます。

もしかしたら、捨てられてしまったかもしれないそれらが、

今の時代まで残り、いろんな人の手に渡っていくことはすてきなこと。

フランスはヨーロッパの中でも、古いものがいい形で残っていると思います」

 

 

今野さんは、学生のときに、卒業旅行でパリを訪れて、

すっかりパリの街に魅了されたそうです。

そして、日本で就職された後、単身でパリへ渡りました。

当初は、雑誌のお仕事をしていましたが、今は、人形作家として活動をされています

その、きっかけは、大切にしていた猫とのわかれ。

猫と過ごした大切な時間を、ひと針ずつ思いをこめて作った人形が

今野さんの新しい人生の扉を開いてくれました。

 

著書「パリの着せ替えどうぶつ人形」「フランスから届いた絵本みたいな刺しゅう」には

たくさんの作品が登場しています。

 

最後にnournours booksの読者にメッセージをいただきました。

「パリでは、毎週末、蚤の市が開かれています。

また、パリ周辺の小さな街にも、蚤の市があります。

もし、フランスを訪ねる機会があれば、ぜひ、一度のぞいてみてください。

小さなはぎれから、世界に一つだけのものを作る楽しみを

これからも続けていきたいと思います」

 

 

 

1/2place 今野はるえさん

 

岩手生まれ、フランス・パリ在住。蚤の市やプロカントでアンティークリネンや生地と出会い、その魅力の虜になり、もの作りをはじめる。アンティークリネンを使ったネコの着せ替え人形が口コミで話題になり、現在はネコ、ネズミ、イヌなどの動物シリーズの他、女の子「ジネット」の着せ替え人形を制作。

 

 

 

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