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THE HANDWORKSのこと

01 「お仕立て」に込めた想い

 

CHECK&STRIPEに訪れるお客様の多くは、ご自身でソーイングをされる方々。でも、「既製服派」だったり、「ミシンは苦手……」だったりする方々にもぜひ一度、CHECK&STRIPEの生地から生まれるお洋服を体験していただきたい! そんな思いから生まれた取り組みが、THE HANDWORKSのお仕立て。専用のONLINE SHOPも始まりました。

シリーズ初回は、labmiことCHECK&STRIPE代表の在田佳代子さんのお話から。

それは、CHECK&STRIPEの原点ともいえる、「お仕立て」にまつわるたいせつな思い出でした。

 

 

 

 

友だちのお母さんの“魔法の手”

 

わたしの、子ども時代のお話です。 

母は、美容院を営んでいました。狭い家に住み込みのお弟子さんもいて、いつも忙しそう。

子どもの頃のわたしにとって家は「母の仕事場」で、緊張感が漂う場所でもありました。

小学校から帰るとランドセルを置いて、仕事中の母とは鏡越しに目で「ただいま」の合図。

そして、幼なじみの友だちの家に遊びに行くのが日課でした。

友だちの家に流れていたのは、ゆったりとした空気。

手づくりのおやつに、手づくりの洋服。

わたしには、友だちのお母さんの手は、まるで魔法使いの手のように映りました。

夏休みも毎日のように遊びに行っていたため、

「夏休みの思い出」というと、そのお家の夏の庭が思い出されるほどです。

ある日のこと。その友だちは、「遠足の時のために」と、お母さんから、

お姉さんとお揃いのワンピースを作ってもらっていました。

ワンピースは帽子とお揃いで、いちご柄のデザイン。

それはそれは可愛くて、今でも鮮明に覚えています。

「手づくりっていいなあ。すごいなあ」

羨ましい、というより、それは憧れに近い感情でした。

布と、魔法使いみたいな手があれば、こんなに可愛いものが生まれる。

今、布を販売する仕事をさせていただいていますが、

この幼い頃の思い出が、自分の仕事の原点になっていると思います。

 

 

 

 

 

「ぬい子さん」のお仕立て

 

さて、子ども時代の思い出には、もう少し続きがあります。

わたしの母はというと、仕事が忙しく、服を縫うような時間の余裕がなかったものの、

近所には洋裁の仕事をしている頼もしい“味方”がいたのでした。

母は『ミセス』や『マダム』といった婦人雑誌の中から好きなデザインの服を見つけては、

その方によく、お仕立てをしてもらっていたのです。

その人の名前は「ぬい子さん」といいました(びっくりするのですが、本名です)。

ぬいこさんには、わたしも時々、洋服を作ってもらっていました。

白い襟の紺のワンピースや、ヨークのついたチョコレートの色のギンガムチェックのワンピース。

『小公女』や『若草物語』など、よく読んでいた本に出てくるような服です。

あの友だちの苺柄のワンピースと同じように、ぬい子さんに仕立ててもらった洋服のことは、

今も忘れることができません。

好きなデザインを、好きな布でつくってもらえること。

小柄なわたしにも、ぴったりのサイズに出来上がってくることが、とてもうれしかったのです。

仮縫いに行って整えてもらい、洋服が完成するまでの時間は待ち遠しく、

出来上がる日は楽しみで、学校から走って帰ったことを思い出します。

母が仕事を終えて、夕飯が終わったら、ふたりでぬい子さんの家へと向かったあの時間。

それはまた、わたしと母の洋裁の思い出でもありました。

 

 

 

 

「THE HANDWORKS」のはじまり

 

子ども時代の夢と憧れは、CHECK&STRIPEで、思わぬかたちで叶うことになりました。

きっかけは、あるスタッフからの提案でした。

「私たちにはたくさんのオリジナルの布があって、ソーイングブックの出版もしているので、オリジナルのデザインもいっぱいありますよね。無限の組み合わせでお洋服をお仕立てするということも、できるのではないでしょうか」と。

“たしかに……。もしかすると、それができる布屋は、世界中探しても、そうないかもしれない”と思ったことから、2016年より「THE HANDWORKS」として、「お仕立て」部門はスタートすることになります。

地方のギャラリーでのPOP UP SHOPでは、「お仕立て会」を行うと、ソーイングをされないお客様から、たくさんのオーダーをいただきます。好きなパターンで布を選び、洋服を仕立てることができる。

お客様がとても喜んでくださっているその表情を見て、「全国のお客様にもお仕立てを体験していただけるように、ONLINE SHOPを立ち上げることはできないだろうか」と、考え始めるようになりました。

しかし、自社で構築するには、莫大な費用がかかってしまうONLINEシステム。諦めかけていた時に、兵庫県が地場産業を応援する企画に、わたしたちも参画させていただけることになったのです。

 

 

 

 

その後、1年をかけて「THE HANDWORKS」のONLINE SHOPを作成し、おかげさまで、パーソナルオーダーでお洋服をお仕立てするONLINE SHOPをオープンすることができました。

このお仕立て部門「THE HANDWORKS」では、裁断から仕上げまで、一人のソーイングスタッフが担当しています。

そのため、ご注文いただいてから完成まで、ひと月以上お待たせしてしまうのですが、子どもの頃のわたしのように、デザインを選び、布を選び、そんな時間を楽しんでいただいて、一枚の洋服が出来上がるまでの「待つ時間」も、ぜひ楽しみの一つとして、感じていただきたいと思っています。

そうしてみなさまの記憶に残る一着をお届けすることができたなら、こんなにうれしいことはありません。

 

CHECK&STRIPE代表 在田佳代子

 

ー続く02回は、THE HANDWORKSをご紹介している動画のmaking storyをお届けします!

どうぞお楽しみに!

 

写真/濱田英明 取材・文/井尾淳子

 

 

 

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