02 濱田英明さんとの動画making story
THE HANDWORKSは、CHECK&STRIPEの「お仕立て部門」。
オリジナル生地&デザインで、ご希望の洋服のお仕立てを注文できる、パーソナルオーダー専用サイトです。
サイト内には特別動画もあるのですが、もうご覧いただいているでしょうか?
(公式サイトから視聴可能です。まだの方はぜひこちらから!)
さてシリーズの第二回は、この動画のmaking storyをお届けします。
撮影を担当されたのは、呼吸が深くなるような、風通しのいいライフスタイルの映像で知られるフォトグラファー・濱田英明さんです。
labmiこと、CHECK&STRIPE代表の在田佳代子さんとの楽しいお話の中で、ものづくりの共通点や、濱田さんの意外な(?)乙女ゴコロが飛び出しました。
「お仕立て」から生まれる、豊かさ
ー01では、labmiさんこと、在田代表の子ども時代の思い出が、THE HANDWORKSの取り組みへとつながっていたことがとってもよくわかりました! そして、ONLINE SHOPのオープンから、「動画も作って広めていこう」となったのでしょうか?
labmi そうなんです。動画撮影は、『CHECK&STRIPE SPECIAL SEWING BOOK』(ナチュリラ別冊 主婦と生活社)の撮影で、原田知世さんを撮影してくださったフォトグラファー・濱田英明さんにお願いしました。(後の『CHECK&STRIPE my favorite 私の好きな服』(主婦と生活社)も担当してくださいました)濱田さんは暮らしのひとコマをとてもすてきに切り取る方で、今回も想像以上の作品に仕上げてくださって。濱田さんからメールで動画が送られてきた時は、とっても感動しました!
濱田 ありがとうございます。そうおっしゃっていただけて、光栄です。
ー 濱田さん、よろしくお願いします。まず今回の動画のお話を聞いた時に、濱田さんがイメージされたことはどんなことでしょうか?
濱田 最初に思ったのは、「写真と動画の、中間のような見え方」ですね。写真は静止しているもの。動画は動いているもの。その中間というのは、被写体を追いかけることはあえてせず、同じ場所にカメラを置いて、その空間でどんな物語が生まれるのか。そこを捉えてみようという試みです。「洋服をオーダーする」という設定から動き出すストーリーって、どんな感じになるだろう?と、さらにイメージしました。
ー動画では母娘や一人暮らしの女性など、複数の女性たちが登場します。濱田さんのおっしゃるように、届いた瞬間の場面から、幸せな時間が動き出す。そんな映像になっていますよね。
labmi 母娘のシーンでは、お気に入りの服が届いた時から、ふたりの楽しそうなやりとりが自然に始まる様子が伝わってきました。
濱田 僕は、「こういう動きをしてください」というような演出は、じつは一切していないんです。母娘のシーンは実際の親子の方だったので、本来のおふたりの姿が映っているから、結果的に幸せな光景に見えているのだと思います。
labmi 一人暮らしの女性のシーンでも、新しい服から新しい時間が始まって……という空気を感じました。音楽も撮り方も編集でも、「洋服を仕立てる」ということに寄り添ってくださって、まさにわたしたちのコンセプトにぴったりでした。
濱田 よかったです。さらにいうと、僕はその物語から、「もう一歩先へ踏み込みたい」と思ったんですよね。
ー そうなんですか。その「もう一歩先」というのは?
濱田 洋服をつくることで得られる豊かさや時間……。その先のコミュニケーションですね。そういうことが、とても大切だなと思っていて。それは今回のお仕事だけではなくて、つねに考えていることなんですけど。そもそも「生地を売る」というのは、そういう営みですよね。たんに生地を売るだけではなくて、そこから生まれる服やプロダクツなど、商品の先にあるもの、といったらいいのかな。でもそれは、ひとつの商品を売ることからもう一歩先へ、積極的に踏み出す力が必要なことだと思うんです。
labmi おっしゃるように、わたしたちも、ひとつの生地からはじまる、その先の楽しさ、豊かさを提供したいという思いがあります。
濱田 それは、僕が写真や映像でやりたいことにとても近いんです。写真や映像って、「撮ったから見てね」で終わる場合が多いんですけど、でも僕は、それを観た人がその後どう感じて、どんな時間を過ごしていくんだろう、ということまで考えてつくりあげたいなと。いつも、そこを思っています。
ーCHECK&STRIPEと濱田さん。ものづくりの根底に、とても近い想いがあるんですね。
動画だからこそ、伝わるディテール
labmi 以前から感じていたのですけど。濱田さんはやっぱり、こころが乙女な方なんですよ。
ーたしかに、動画にあるギャザーのブラウスの首元あたりとか、大事なディテール、洋服好きの人のツボを心得ていらっしゃるなぁと想いました!
濱田 そうですか(笑)。「背中のチャックを開けたら、女の子が出てくる」とはよく言われるんです。できたらワンピースとか、着てみたいですもん(笑)。ムリですけど……。
一同 (笑)。
labmi 今回撮っていただいた洋服の中では、気に入っておられる布はありますか?
濱田 リバティプリント、というんですよね。花柄の。ああいうのがいいなぁと思いました。
ーやはり、乙女ゴコロが(笑)。では、お二人ともに、印象に残ったシーンではいかがでしょうか?
labmi 全部好きなんですけれど、オープニングの「はさみで布を切るシーン」も好きです! こういうイメージはどうして思いつくんだろう?と思いました。
濱田 はさみのシーンは、あとで編集してみたら偶然、うまく収まったんですけどね(笑)。僕は、屋上で撮影した、ストライプのシャツワンピースを着た女性のシーンが好きです。開放的な空が広がっていて、立っていただいた瞬間、「わぁーいいなぁ!」と思って。
ー裾が風に揺れていたりして、「あのデザインは、着るとこういう感じなんだなぁ」というのもよくわかって、イメージがさらに広がりました。
labmi 女の子の、リバティプリントのワンピースの裾が揺れるシーンも好きです。動画だと肩の落ち感や布の軽やかさが、動画でよくわかったというお客様のご意見もいただきました。なので、今回の動画で使った服のデザイン、生地の名前なども、サイトではご紹介しています。
動画に込めたのは、
「気持ちが一歩、前に進むこと」。
ーこの動画のテーマは「お仕立て」ではあるのですが。わたしは動画を見て、「仕立ててもらいたい!」と思うと同時に、「いつか自分でも、やっぱり縫ってみたいなぁ」とも思いました。
濱田 そう思っていただくことが、僕はいちばん大切だなと思っています。この動画を見たことで、「お仕立てにトライしてみよう」とか、「ソーイングやってみよう」とか、気持ちが一歩、前に進むような気持ちを感じていただけたらうれしいです。みなさん日々忙しい中で、そういうこころを失わずにいてもらえたらいいなと。とくに今は、いろいろとしんどい時期じゃないですか。なので余計に、気持ちが前に出るというこころの動きが大事。そこさえしっかりしていれば、乗り越えていけるんじゃないかと思っています。
labmi 濱田さんのおっしゃること、とても共感します。今は、衣食住という、基本の暮らしが疎かにならないように、遊び心……みたいなところを保つことが大切ですよね。そして、「そうでありたい」と想う気持ちが、とっても大事だなと思います。とくに、「お子さんに、こんなお洋服をプレゼントしてあげてください」とか「手作りもいいですよ」とか、そういうメッセージを言葉にするよりも、さりげなく伝えたいなと感じていたので。わたしたちの想いを映像に乗せていただき、感謝しています。
濱田 こちらこそ、ありがとうございました。そういう願い、ふだん考えていることなどが、この動画でより伝わるとうれしいです。
ーぜひ、動画の第二弾、第三弾も期待しています!
ということで、続く03回では、ダンスコのブランドディレクター・荒井博子さん、静岡・沼津の雑貨店「hal」オーナーの後藤由紀子さんによる、THE HANDWORKSお仕立て体験をお届けします。お楽しみに!
濱田英明(はまだ ひであき)
兵庫県淡路島生まれ。大阪在住。2012年9月、35歳でデザイナーからフリーのフォトグラファーに転身。2012年12月、写真集『Haru and Mina』を台湾で出版。『KINFOLK』(アメリカ)や『THE BIG ISSUE』(台湾)などの海外雑誌ほか、国内でも雑誌、広告、記念写真撮影など幅広く活動中。
写真/濱田英明 取材・文/井尾淳子