通りのあちらこちらにモミの木売りが店を出し、移動遊園地やマルシェ・ド・ノエルにはヴァン・ショー(ホットワイン)の文字。教会の鐘がグレイの空に高く響きわたり、白い息を吐きながら街を歩く人々がとても嬉しそうに見えるパリの12月。
街の灯りが美しく彩られたり、お茶やストーブのあたたかさに感謝できたり……日照時間が長い季節の眩しさに隠れていたちいさな豊かさが、静かに顔を見せる冬の訪れは、いつもより家族や友人との距離がぎゅっと縮まるような気持ちになり、家の中で過ごす時間に愛しさが増します。
毎年、少しずつ買い足してコレクションしているガラスのオーナメントを飾り終え、息子が白いひげを蓄えたペール・ノエル(サンタクロース)宛てに手紙を書きはじめたら、そろそろ我が家でもクリスマス・アドヴェントのはじまりです。今年は星のかたちをしたサブレと、スパイス入りのキャロットケーキを何度も焼いて楽しもうと考えています(これは自慢のレシピで、日本の食材でもとても美味しく作れますので、ぜひ、みなさんにも楽しんでいただければと思いレシピを書きました)。
子供と一緒に、大人も童心に返してくれるパリのクリスマスシーズンは、純粋で美しい希望と愛があふれています。
Joyeux Noël et bonne année !
どうぞ、みなさん素晴らしいときをお過ごしください。
そして、よいお年を。
松長絵菜
クリスマスキャロットケーキ
スパイスをきかせた人参のケーキは、上に粉砂糖をふって素朴で可愛らしい表情に。
シナモンのほか、ジンジャーパウダー、ナツメグ、カルダモンパウダー、 白胡椒などがあれば、お好みで薄力粉にごく少量ずつ加えると、よりクリスマスらしい味わいになります
材料(21cm丸型1台分)
ブラウンシュガー 205g
卵 4と1/2個
サラダオイル 225ml
プレーンヨーグルト 150ml
にんじん(すりおろし) 330g
A 薄力粉 335g
ベーキングパウダー 小さじ4と1/2
塩 少々
シナモン 小さじ1
クリームチーズ 300g
粉砂糖(クリーム用) 50g
生クリーム 100ml
・
星型のバターサブレ 適量
粉砂糖(盛り付け用) 少々
1;ボウルにブラウンシュガーと卵を入れ、泡立て器でふわりとなるまで泡立てる。
2;泡立器で混ぜながらサラダオイル、ヨーグルトを順に加える。
3;合わせてふるったAを加え、ゴムべらで切るように混ぜ、粉っぽさがなくなってきたら、にんじんを加え混ぜ合わす。
4;オーブンシートを敷いた型に生地を入れ、上をならし、170度のオーブンで50〜65分焼く。竹串を刺してねっとりした生地がついてこなければ焼き上がり。型から出して冷ます。
5;常温にしたクリームチーズと粉砂糖(クリーム用)をボウルに入れ、泡立て器で ふわりとするまで混ぜ合わせてから、ごく少量ずつ生クリームを泡立てながら加え混ぜ合わせる。
6;皿に4を盛り付け、上から粉砂糖(盛り付け用)をふるい、まわりにクッキーを添える。
好みの大きさに切り分け、5のクリームとともにいただく。
バターサブレ
星型がない場合は、お持ちのクッキー型でも美味しく作れます(直径の同じものがあれば、そのままの焼き時間、直径が小さくなる場合は短い焼き時間、大きくなる場合は長い焼き時間になります)。クッキー型が無いかたは、生地をナイフなどでカットしてから天板に並べても。
(直径4cmの星型25枚分)
バター(食塩不使用) 150g
グラニュー糖 100g
卵 1個
バニラエクストラクト(またはバニラエッセンス) 少々
(a) 薄力粉 220g
塩 少々
1:ボウルに常温にしたバターを入れ、泡立て器でなめらかに柔らかくなるまで混ぜ、グラニュー糖を加え、さらに、白っぽくふわりとなるまで泡立てる。
2:1のボウルにほぐした卵を泡立てながら少量ずつ3回に分け加え混ぜ合わし、バニラエクストラクトを加え混ぜ合わす。
3:2にあわせて振るった⒜を加え、木べらでさっくりと切るようにして、粉っぽさがなくなるまで混ぜ合わす。ひとまとめにしラップに包み、冷蔵庫で1時間寝かせる。
4:台に生地をのせ、めん棒で7mm程の厚さにのばしていく。べたつくようであれば薄力粉(分量外)を振るう。星型で型を抜き、間隔をあけてオーブンシートを敷いた天板に並べる。
5:170℃に温めたオーブンで、12〜15分焼き、網の上で冷ます。
松長絵菜(まつなが・えな)
料理研究家
東京で活動後、結婚を機にパリ在住。
日仏家庭料理のレシピ研究と共に、
文化、生活のエッセイ等を手掛ける。
著書に「ひふみのおやつ(文化出版局)」他多数