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Special issue 松長絵菜
パリのクリスマス

 

 

 

サンタが来る夜を指折り数えた、幼い頃。

クリスマスイブの夜は、キャンドルのゆれる灯りをながめながら、母の作る料理をかこみ、家族そろって楽しい時を過ごしました。

翌日の朝、枕元のプレゼントを見つけて飛び起きた記憶は、随分と歳をとった、いまでも心の宝物です。

 

現在、私が住んでいるこのパリで、はじめてクリスマスをすごしたのは、10年以上も前のこと。おごそかで静寂に包まれた冬の街が、とても綺麗に見えたことをよく覚えています。こちらの人々は、毎年、冬が近づくと、家にサパン(もみの木)を飾り、 特別なメニュウを考えて仕込みをはじめ、手紙をしたためたり、プレゼントの準備をしながら特別な一日を待ちわびます。

 

私も、家族3人で暮らすちいさな家で、「Vive le vent(フランス語のジングルベル)」などのクリスマス曲を合唱祭にむけて練習する息子の歌声とともに、あたたかな飲み物をのみながら部屋の飾り付けをはじめると、パリの冬の寒さとともに、どこからともなくトナカイの鈴の音が近づいてくるような気分になって、心躍ります。

 

今年は、こだわりの真白なテーブルクロスとナフキンを新調して、当日のデザートも今の気分のレシピを考えました。今回は2回にわたり、パリの我が家のクリスマス支度の様子とレシピを、少しご紹介できればと思います。

 

さあ、今年のクリスマスも、もうすぐそこまで来ています。

みなさん、素敵なクリスマスを!

Joyeux Noël !

 

松長絵菜

 

 

 

 

 

「クリスマスのための麻のテーブルクロスと

おそろいの布で作った小さなナフキン」

 

 

11月には初雪が降ったパリ。ふと、今年のクリスマスは、つもった白い雪にクリスマスのごちそうを並べるようなイメージでテーブルを彩りたいなと思いました。

白のリネンをたっぷりと使い大きめに作ったクロスは、料理だけでなく、焼き菓子などの素朴な色ともよく合います。

そして、お皿にのせた小さな可愛らしいナフキンの、すみに開けたのは、シャツのボタンを通すための穴。綺麗に縫われた穴の縫い目は模様のようにも見えて、とても気に入っています。

シャツのボタンを穴に通せば、ナフキンが胸にピタッとおさまり、食事やお茶の時間、首から下げたナフキンがいつの間にか床に落ちてしまうことの多い、私のような人だけでなく、よく動く小さな子供にもとても便利です。

 

 

<テーブルクロスとナフキンの作り方>

好みの大きさで端四辺を5mmの三つ折りにして縫う。

ナフキンは角に対して45°になるよう端から1.5cmのところにボタンホール(1.5cm)をあける。

 

使用した布:CHECK&STRIPEオリジナル幅広リネン ホワイト

 

 

 

「もみの木を飾りながらいただく、ジンジャーコーディアル」

 

 

我が家のもみの木は、大人の背丈よりも大きなもの。毎年、少しずつ買い集めている、硝子のオーナメントを全体のバランスを見ながら、飾り付けるには少し時間がかかります。そんなとき、甘くてあたたかなクリスマスらしい飲み物があると、のんびりと気持ちもリラックスできて、作業がより楽しめるのです。

 

春と夏はエルダーフラワー、秋と冬はジンジャーというように。

毎年、私は季節に合わせて手作りコーディアルを常備しています。

12月はジンジャーにスパイスをたして、よりコクのあるクリスマスにぴったりの味に。

 

なかには、たっぷりの生姜、はちみつ、リンゴ酢。

風邪をひきやすいこの時期は、あたたかくて、栄養たっぷりの飲み物です。

温められたボウルに注ぐ度に甘い香りが部屋じゅうに広がります。

冷たい飲み物を好むかたは、氷と一緒にグラスに注ぎ、冷えた炭酸水で割っていただいても。家族全員大好きなコーディアルです。

 

 

(作りやすい分量)

生姜  100g

砂糖  80g

水   450ml

はちみつ 240g

りんご酢 100ml

シナモンスティック 1本

クローブ  5粒

 

1;生姜、砂糖、水を、なめらかになるまで、ミキサーにかける。

2;鍋に1、はちみつ、りんご酢を入れ、弱火にかける。

10分ほど煮立たせ、 上に浮いてきたアクをお玉ですくい取る。生姜の粒が残っていれば、一緒にすくい取る。

3;2が熱いうちに、シナモンスティックとクローブを入れ、そのまま冷ます。

熱湯、炭酸水他、好みの飲み物に入れて楽しむ。

 

 

 

松長絵菜(まつなが・えな)

料理研究家

東京で活動後、結婚を機にパリ在住。

日仏家庭料理のレシピ研究と共に、

文化、生活のエッセイ等を手掛ける。

著書に「ひふみのおやつ(文化出版局)」他多数

 

 

 

Special issue 松長絵菜 パリのクリスマス
 
 

 

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