nounours booksが会いたい人を訪ねるページです。
家のこと。部屋のこと。
ともに暮らす家族、日々のあれこれや布使い、などなど。
「room story」side A、side Bとしてお届けします。
04-side B
「パートナー」としての家から
その場にいるだけで、まわりの空気が浄化されていくような、整った空間。
くつろげるのに、どこか背筋がシャンと伸びるような家。
side Aでは、CHECK&STRIPE事務所スタッフ・めがねさんが、
「自分にぴったりの家」と出会うまでのストーリーをお届けしました。
新居を手に入れたからといって、「間に合わせの家具は買わない」。
それは、めがねさんのお話を伺って、いちばん印象に残ったことでした。
たとえ「あったほうが便利」なものであっても、一つひとつ丁寧に好きなものを探し、
見つからない時は焦らずに。静かに、縁と出会いを待つのだそうです。
「いちばん気に入っているのは、アーコール社のロッキングチェア*です」
自分の部屋でロッキングチェアに座り、静かな時を過ごすのが夢だったというめがねさん。
「欲しいタイプは決まっていたのですが、なかなか高価なものなので、
アンティークの丁度いいものが出てくるまで、がまんして待っていました」とのこと。
*1920年に家具デザイナーのルチアン・アーコラーニ氏が創業した英国の老舗家具メーカー。
めがねさんの「間に合わせのものは買わない」主義が顕著なエピソードをもうひとつ。
それは、写真のナラ素材のダイニングテーブルです。
今はしっくりと空間に収まっているこのテーブル。
けれどこれもまた、出会うまで待っていたもののひとつで、
引っ越してきてしばらくの間、このスペースには何もなく、テーブルなしで過ごしていたのだとか。
「このテーブルはすごく気に入ったんですけども、脚のデザインがちょっとデコラティブで。
この空間には、もう少しシンプルで繊細な脚のテーブルが合うように思って、
お店にお願いして変えてもらいました」(めがねさん)
家の中に心地よく配置されていたのは、大型家具だけではありません。
裁縫のための部屋の収納を拝見すると、糸やボビン、針山に至るまで、
すべてのものたちが、「ここにこうしてきれいに置いてもらって、すごくうれしい!」と喜んでいるかのよう。
そして特筆すべきは、クローゼットに吊るされていた型紙の収納。
(下の写真に注目を!)
「A3サイズのクリアケースに穴あけパンチで穴を開けて、紐を通しただけの簡単な収納方法です」と、めがねさん。
いえいえ。「あの型紙はどれだっけ……」と、いちいち探す手間を省くことができるし、ぐちゃぐちゃになることもないし。
これはソーイング好きの読者にも、とても参考になります!
家の中に置くものは、「必要なものだけ」「気に入ったものだけ」。
それは、スッキリとした空間を保つことはもちろん、「ムダな動きをしなくても済む」という、工夫の積み重ねでもあって。
大切な大小のお気に入りのものたちが家主とともに、心地よく暮らしている理由がよくわかる気がしました。
家具も、小物も、ご家族の思い出の品も。
すべてがめがねさんの大切なパートナーとして、この家の中で気持ちよく、息づいていました。
住まい同様、静謐な雰囲気のめがねさんですが、CHECK&STRIPEに勤務する以前は、
アクセサリーをたくさん身につけていた金髪青年だったのだそう。
「人生を模索していた20代のとき、ひょんなご縁から、代表の在田との出会いがありました」と、
当時を懐かしそうに振り返るめがねさん。
「その時、彼が持っていた手作りのバッグのデザインが素敵で声をかけたのがきっかけなんです。
それがまさか、こんなに長いつきあいになるとは(笑)」と、在田社長。
それから時は流れて、現在はCHECK&STRIPEのデザイン関係を主に担当しているめがねさん。
「SNSやお店で、お客様が自分のデザインした小物を作って、愛用されている様子を拝見できることがあります。
その瞬間が、今は何よりの喜びです」
これからも、大切なパートナーとしての家時間を通して、
素敵な商品をたくさん、わたしたちに届けてくれることでしょう。
Column 暮らしの中の布使い
カーテンももちろん、めがねさんの手作りでした。カーテンはすべて、CHECK&STRIPEの3大リネンのひとつ「天使のリネン」を使用(写真上)。透け具合がちょうどよく、光がきれいに入ってくるのだとか。
寝室のカーテン(写真下)は、「リネンツイル(ベージュ)」を使用。
訪ねた方
めがね。
CHECK&STRIPE事務所スタッフ。
神戸市在住。デザイン関係のディレクションを担当。リバティプリントのオリジナルの色付けや、
洋服・小物・ぬいぐるみのデザイン・製作をすることも。
撮影/大段まちこ 文/井尾淳子