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ROOM STORY

nounours booksが会いたい人を訪ねるページです。

家のこと。部屋のこと。

ともに暮らす家族、日々のあれこれや布使い、などなど。

「room story」side A、side Bとしてお届けします。

 

 

 

 

16 side b 

“暮らし”に戻る場所。

 

神戸にて、建築家・中村好文さんが手がけた家に暮らすlabmiさん(CHECK&STRIPE代表・在田佳代子さん)。

住まう人への思いやりに満ちた設計に触れて、labmiさん自身も「ものづくりの姿勢」が腑に落ちて、たくさんの気づきがあったといいます。

続くside Bでは、そんな大切な家で過ごす日々の暮らし、家族との時間について、お届けしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

「旅行やイベントなどの思い出はいつも、小さなアルバムにして残しています」というlabmiさん。写真(上)は、この家にはじめて、ダイニングテーブルが運ばれた日の写真です。

テーブルは、リビングの奥に設置(写真下)。暮らし始めた当初は、天井の高いリビングの中、ダイニングの一角だけが低くなっていることについて、「なぜダイニングスペースだけ、天井を下げたのかな?と思っていました。でも実際に過ごしてみると、天井が低いことによって籠もっているような感覚に。とくに夜、ダイニングの灯りだけで過ごす時には心が落ち着きます」(labmiさん)

 

 

 

 

 

 

 

週末は、この居心地のいいダイニングで、家族で集まって食事をするのが恒例。聞くと、なんと家族9人分(!)の料理を作るとのこと。

「9人というのは、夫と長男長女、子ども(トル)それぞれの伴侶と3人の孫…という内訳です。子どもたちがまだ小さかった頃、仕事が急に忙しくなりました。なので、ろくに料理を作れなかった罪滅ぼし……のようなところはあります。家族においしいものを食べさせたい! それが週末のごはんづくりのモチベーションにつながっています。時々、夫の父の“もみ爺”(96歳)も一緒に、テーブルを囲みます」

「孫たちがたくさん食べてくれるので、さらにやる気が出るんですよ」と、笑顔で教えてくれるlabmiさん、最近ではお孫さんが小学生になり、一緒に料理をすることもあるのだとか。

 

 

 

 

シチュー コロッケ、ハンバーグ、鍋物におでん……etc. たくさんのごちそうが生まれるキッチンですが、動線はとてもスムーズに設計されていました。廊下側からキッチンへ、ダイニング側からキッチンへ……と、シュウマイや餃子などのメニューを家族が手伝う際にも、それぞれの人がぶつからないよう、ぐるぐると回遊できるようになっています。

「なかでもわたしがとくに気に入っているのは、ガスコンロ&水回りがあるスペースと、作業スペース(収納含む)の間に、引き戸がある点です。この引戸を閉めてしまえば、料理中の作業や配膳、冷蔵庫も目隠しすることができるし、お誕生日の時のサプライズなどもここで準備をします」(labmiさん)

来客の際も、引き戸を閉めればキッチンはスッキリ。ここにも中村さんの「思いやりのまなざし」がありました。

 

 

 

 

 

 

 

そしてもうひとつ、labmiさんにとって大切なのは、「ピアノと向き合う時間」。

「ピアノを始めたのは、数年前。50代後半です。以前から“楽器をやってみたいな”という気持ちがあって、最初はチェロに憧れていました。でも、ケースを開けて、構えて、さぁ弾こうという感じがちょっとハードルが高いかなぁと思いまして……。“ピアノなら、10分でも時間が空いたらすぐに練習出来るのでは?”と、そこからレッスンに通うようになりました」

「なるべく圧迫感のない、小型のものを」と探し求めたドイツ製のアンティークピアノ(写真上)は、まるであつらえたようにリビングに溶け込んでいました。labmiさんの愛犬たちも、静かに、その音色に耳を傾けているよう。「写真(下)は、取材時、まだネルが元気だった頃。この暖炉の前のスペースがお気に入りの場所でした」(labmiさん)

 

 

 

 

この家に集うのは、家族のほか、CHECK&STRIPEにゆかりの深い作家さんやお料理の先生など。仕事場で会うだけでは交わせない、ゆったりとしたコミュニケーションの時間が流れるのだそうです。

「先生方のアイデアを聞くことができたり、思いがわかったり。それを聞くことを目的にしているわけではないのですが、くつろいだ場だからこそできる、そんな会話があるなぁと感じています」

さらに「出張が多い時は、家で過ごす時間は少なくなりますが、この場所でたっぷり充電できるから、また元気に、外に出ていくことができます。そう思うと、家で過ごす時間は短くても、わたしにとって大切な時間なのだなあ……と、思います」

CHECK&STRIPEのお客様が暮らしを大切に慈しまれているように、

ごはんを作り、家族と過ごし、趣味の時間を楽しむ。

そんな時間を大切にしながら、labmiさんの毎日はまた、新たな世界へと、時間を刻んでいくのでしょう。

 

 

 

Column 暮らしの中の布使い

 

 

 

キッチンで活躍するのは、CHECK&STRIPEがいつもお世話になっている方々が作られたもの。

「写真(上)は、布作家・石川ゆみさんや西山眞砂子さんの鍋つかみ。(下)はnounours booksのレシピ連載でもおなじみ、料理家・渡辺康啓さんとのコラボ製品のリネンクロスです。リネンのガーゼで作られているこのクロスは、たくさんの食器を拭いてもすぐ乾く、理想的な布巾なんです」(labmiさん)

 

 

訪ねた方

labmi(在田佳代子)

CHECK&STRIPE主宰。兵庫県生まれ。1992年より布の販売を開始。1999年にonline shopを立ち上げ、2006年に神戸にCHECK&STRIPEの直営店、その後自由が丘、芦屋、吉祥寺、鎌倉に店を構える。シンプルで上質な布を日本で作ることにこだわり、布のある暮らしの提案を続けている。

https://nounours-books.com/category/diary/

 

 

撮影/大段まちこ 文/井尾淳子

 

 

 

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