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ROOM STORY

nounours booksが会いたい人を訪ねるページです。

家のこと。部屋のこと。

ともに暮らす家族、日々のあれこれや布使い、などなど。

「room story」side A、side Bとしてお届けします。

 

 

 

11-side A

まちこさんのお引越し

     ~“空の見える場所”へ

 

「わたしにとって、本当に気持ちのいい暮らし」とは? 

家で過ごす時間が増えたここ数年、改めて「自分の暮らし」を見つめ直した方は多いことでしょう。

「それはきっと、みんなが叶えられることなんだと思います」とは、nounours booksの編集長、フォトグラファーの大段まちこさん。

「きっと叶う」というその言葉は、自身の「お引越しストーリー」があったからこそだなぁ、と思います。

2021年の晩夏、長く住んでいた東京を離れたまちこさん。現在は地元神戸で見つけた部屋で、自分らしい暮らしを愉しんでいる真っ最中です。

 

 

 

 

 

じつは何年も前から、引っ越し計画自体は考え始めていたというまちこさん。

「寝る場所、そしてごはんをつくって食べて、過ごす場所。暮らす場所は自分にとっていちばん大切なものだから、“サンクチュアリ”のような存在でありたいと思っていました。もちろんかつて暮らした家も同じで、どこへ行っても帰って来れば落ち着ける、そんな空間であるよう心がけてもいました。けれど年齢を重ねるごとに、その居心地の良さについて、変化が現れてきたのだと思います」(まちこさん)

若い時には若い時なりの居場所・居心地の良さがあるけれど、人はつねに変化し、移りゆくもの。

そろそろ、ここではない、どこかへ行きたいな。でもそれは、一体どんな場所だろう? 

自然豊かな森の中に、大きな一軒家を建てて家族と暮らす人。あるいは郊外の倉庫を改造して、工夫いっぱいに暮らすクリエイターの人。

素敵な暮らしを実践している友人・知人の家を訪ねる度、その人なりの暮らしと自分を照らし合わせてみることで、また、見えてくるものがあったのだそう。

 

 

 

「たとえば、わぁ素敵と思っても、冬は雪かきが必要とか、熊と遭遇することもある!なんて聞くと、さすがにそれは現実的には難しいなぁ、とか(笑)。

そこで、“じゃあわたしにとって素敵な暮らしって?” “心もからだもムリがなく、自分らしくいられる暮らしって、どんな感じ?”ということを、自分なりに見つめていたように思います」(まちこさん)

引っ越しを考えている方、また、予定はないけれど、いつかできたらいいなぁと思っている方にぜひ参考にしてほしいのは、そこからの、まちこさん流「こうならいいな」のリスト化です。

なんとなく素敵、ではなくて、もっと具体的なイメージをつかむために、実際にイメージをノートに書き出してみたのだそう。

でもそれは、「駅近」「職場が近い」「家賃・間取りが手頃」……などのよくある現実的な「条件」ではなくて、心がきゅんとなるような、わくわくの「光景」が優先。

 

果たして、まちこさんのリストは、次のようなものになりました。

・白い空間

・空がいっぱい見える

・光がいっぱい入る

・風が抜ける

         ………etc.

 

 

 

 

地域や最寄り駅でもなく、はたまた、間取りや家賃でもなく。

「物件探しをする時は、ともすると、そういう現実的な制約の中で決めてしまいがちですよね。でも今回の引っ越しについては、このリストに合う部屋であれば、どこでもいいな、とも思いました。とても感覚的に、自分の暮らす場所を妄想してみよう、と決めたのです」と、まちこさん。

「ここでいいや」はやめよう。「ここだ」とピンとくるまでは、妥協しないようにしよう。

何よりも、これからの自分にいちばんしっくりする場所が最優先。 

そんなふうに、これまではとったことのないスタイルで、まちこさんのお引っ越しは始まりました。

 

 

 

 

都心での物件探しはすでにキャンセル待ちの部屋ばかり……など、なかなかうまく進まない中で、ある時、その“出会い”は訪れました。

しかもそれは東京ではなく、まちこさんの地元、神戸の物件だったのです。

「不動産屋さんのサイトで偶然、すごく気になる新着物件を見つけました。しかもその近くに住んでいる友だちがいて、いつもは忙しい人なのに、タイミングよく予定が空いていて。わたしの代わりに内見に行ってくれることになったんです。そして、“すごくいいよ!”と、連絡をくれました」(まちこさん)

早速、自分でもその週末に新幹線に乗って内見へ。

すると、南向きの広い大きな窓からは、空と紀伊半島が一望。明るくて、風も抜けて、光もたくさん入ってきて……。まさに、リストに書いていたとおりの部屋が待っていたという急展開!

「壁紙だけはブルーだったんです。でもそれも、白い壁紙にリフォームしてOKと、すぐに許可が出ました。駐車場にも空きがあって、そこから実際の契約まで、自分でもびっくりするくらいスルスルと、全てがスムーズに進んでいきました」(まちこさん)

 

 

 

写真は、まちこさんの部屋の窓から見える、広い広い空。

ピンときたら、すぐに実行に移す行動力あるまちこさん。けれどもちろん、現実的な不安が頭をもたげる瞬間もあったといいます。

「ずっと東京で仕事をしていたので、“わたし、ここを離れて本当にいいのかな。大丈夫かな?”とも思いました。そんな気持ちになった時は、いろいろな人に話を聴いてもらったんです。でもわたしのまわりにいる人は、全員が“大丈夫!”って(笑)。こんなに変化の大きい時なのだから、おおげさな覚悟は必要ないし、じっとしているよりも動いたほうがいいと思う、と言ってもらえたんですよね。おかげで、さらっと動いてもいいのかなという気分に、だんだん落ち着いていきました」(まちこさん)

 

 

 

印象的だったのは、「結局、動くことは決まっていたように思います」というまちこさんのひと言。

一瞬不安がよぎる時はあっても、心の奥底では「きっと大丈夫」と、どこかで自分の決断をちゃんと信じている自分もいる……。

そういう時に訪れた出会いや「わくわく」の直感は、きっと運命で、きっと正解なのでしょう。

頭で考えることはいったん脇に置いておいて、自分の感覚に従ってみることの大切さを教わったような、まちこさんのお引越しストーリー。

次回side Bでは、断捨離のためにたくさんのモノとの向き合い、そして手放していったストーリーをお届けします。どうぞお楽しみに!

 

Column 暮らしの中の布使い

 

 

 

 

リビングの大きな窓にかかっていたのは、光をきれいに通しているリネンのカーテン。

「これは、じつはシーツなんです。フランスのバスク地方に行った時に買ったもので、偶然にも窓のサイズにぴったりでした」(まちこさん)

 

 

訪ねた方

大段まちこ

フォトグラファー

 

雑誌や広告で活躍。CHECK&STRIPEのソーイングブックをはじめ、Webマガジン「nounours books」では編集長を担当。

共著に『花と料理』(リトルモア)『神戸ロマンチック案内』(マーブルトロン)企画および写真を担当した「日めくりカレンダーBOOK A VERY MERRY EVERY DAY to you」を出版。

 

 

撮影/大段まちこ 文/井尾淳子

 

 

 

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