伝統的なお店から、ニューオープンのお店まで。
CHECK&STRIPEの本拠地・神戸には、美味しくて個性的で、毎日通いたくなるパン屋さんがたくさん。
神戸開港の翌年(1868年)にはパンの店があったといわれるほど、その歴史は古いのです。
さて、タイトルのお話についても少しだけ。
「Hopping」には、「お店を巡る」という意味もあるそうですよ。
「パンのまち・神戸」に訪れた際には、ぜひ巡っていただきたい、
そんな編集部厳選のお店を全5回にわたってご案内します。
01 ドイツパンの名店「フロインドリーブ」
最初にご案内するのは、フロインドリーブ生田店です。
店名の由来は、初代創業者の名前「ハインリッヒ・フロインドリーブ」から。
第一次世界大戦中に日本軍の捕虜となったフロインドリーブは、終戦後も日本に暮らし、敷島製パン株式会社の初代技師長に就任しました。
その後、40歳の時に日本人の妻と2人で、神戸の中山手に「フロインドリーブ」を開店します。
日本にはなかった、ハードタイプ主流の本格的なドイツパンを広めた二人。
(夫婦のストーリーは、NHKの朝ドラ「風見鶏」のモデルにもなっているんですよ)
ところが、創業時の店舗と工場は、第二次世界大戦での神戸大空襲により、消失。
その後、隣接地に借りた土地でお店を再開しましたが、2店舗めも、阪神大震災によって甚大な被害を受け、
全壊の指定を受けてしまいました。
それでもフロインドリーブは、再び再建の道をたどります。
お店の再開を願うお客さんたちのエールとともに、
当時、取り壊しの決まっていた旧神戸ユニオン教会を新店舗として改築、蘇らせるという英断が、フロインドリーブの復興と発展につながっていったのです。
じつはこの教会、現在の3代目社長ヘラさん(初代のお孫さんです)が結婚式を挙げたという、大切な思い出の場所だったのです。
現在の店舗は、1階がパンと洋菓子店。
2階にあるカフェでは、焼き立てのパンを使ったサンドウィッチなどをいただくことができます。
クラシックな雰囲気が漂う建物は、地元のお客さんはもちろんのこと、観光客にも人気。
開店時には、「買い物がてらモーニング」のコースをお目当てに、多くのお客さんが訪れています。
看板メニューは、創業当時から変わらぬ製法で作られるドイツパン「ハードトースト」。
(1/2 税別¥450 L 税別¥900 *写真は1/2)
「日本のお米同様に、飽きのこない食事パンです。
外側はカリッと、中はふわっとしているのがドイツパンの特徴です」とは、広報担当者の薮田さん。
フロインドリーブのパンのいちばんの特徴は「一日焼き」で、
その日販売するパンは、午前中の開店時にすべて出す、というスタイル。
追加で焼くことはなく、売り切れ次第終了になるそう。
理由は、自然発酵時間を待って出来るドイツパンは、仕込みから焼き上がりまで、6時間もかかるから。
(前日の深夜11時頃から仕込みを開始!)
この「6時間製法」は創業からのこだわり。この長い発酵時間によって、弾力に富み、パリッとした独特の食感が生まれるそうです。
上の写真は、人気の定番商品2種。
クルミとレーズンを練り込んだ「ブラウンブレッド(左/L 税別¥1,000)」と、
皮の部分が香ばしい「ドイツコッペ(税別¥500)」
(ドイツコッペは、かつて吉田茂首相が、毎週取り寄せていた商品なのだとか)
メインのドイツパンのほか、フロインドリーブでは、パイやクッキーなどの洋菓子も販売しています。
写真は、おみやげにおすすめの、箱入りミックスクッキー2袋入り(税別¥1,200)
洋菓子部門の人気は、ドイツで製菓を学び、マイスターの資格を取得した二代目の貢献によるもの。
初代から受け継いだパンに加えて、洋菓子の販売にも力を注いだのだそうです。
写真は、編集部員の間でもファン多し!のパイ「中ミミ」(スィートハート 中ミミ プレーン10枚入り 税別¥1,900)
バターたっぷりのハート型パイですが、ドイツでは、
ぶたの耳は「幸福を呼ぶシンボル」と言われていることから、ネーミングされたそうですよ。
デニッシュ生地とパイ生地を練り込んだ、「プルンダー」と呼ばれるおやつもおすすめ。
写真は、けしの実ペーストをアーモンド入の生地で包んだモーンプルンダー(税別 ¥330)
初代がパンを、2代目が洋菓子を、3代目が教会の改築とカフェを。
ファミリーの歴史と、情熱と。さまざまな伝統が受け継がれたフロインドリーブですが、スタッフの中には、「子どもの頃からこの店に憧れていました」という人も多いそう。
神戸ならではの名店で、ぜひその物語と空気感を、パンと一緒に味わってみてください。
神戸市中央区生田町4-6-15
078-231-6051
営業時間
SHOP:10:00~19:00
CAFE:10:00~19:00(L.O.18:30)
定休日:水曜日(水曜祝日の場合、翌日木曜が店休)
写真 大段まちこ 構成・文 井尾淳子