たとえば「ポテトサラダ」をつくろうと思ったら。
まず、どんなことから考えますか?
材料と調味料、よく知っている味付け…などなど、
「レシピありき」で始まることが多いはず。
でも、ジョバンニこと渡辺さんの料理は、
どういう食感で、どういう温度で、どんなタイミングでいただくか。
「出来上がりのイメージを強くもつ」ことからスタートします。
すると、材料も味付けも見え方も、取り組み方すべてが変わってくるのだそう。
シンプルな料理が、びっくりするほど美味しくなる、Giovanni流のミラクルポイントをご紹介します。
*Giovanni…渡辺さんがイタリア滞在中につけてもらった、イタリア人の名前
春キャベツのコリアンダー蒸し
春キャベツ 1玉
新玉葱 1個
ローリエ 1枚
コリアンダーシード 大さじ1
オリーブ油 大さじ2
塩
春キャベツは外側の葉を剥がし、4等分に切り分ける。
芯の部分を切り落とし、残りはざく切りにする。
芯の部分は薄切りにする。
新玉葱は薄切りにしておく。
鍋にオリーブ油、コリアンダーシード、ローリエを入れて火にかける。
香りが立ったら、キャベツ、新玉葱を入れて塩をふり、ざっくり混ざる。
蓋をして弱火に落とし、キャベツがくたくたになるまで、時々かき混ぜながら蒸し煮にする。
塩で味を調える。
miracle point
「春野菜は、甘みを引き出す蒸し煮がいちばん美味しい。
ポイントは、とにかくくたくたになるまで煮込むこと。
柔らかい甘さをしっかりと出すために、熱々のタイミングではなく、
少し冷めてからいただくのがおすすめです。
そして、最初にコリアンダーとローリエの香りをオリーブオイルに移す、
テンパリングと呼ばれる作業を行うこと。
これは、カレーを美味しく作るときの方法で知られています。
スパイスの香りを、最大限に引き出すことができますよ」
渡辺康啓 料理家
1980年生まれ。くいしんぼうの父とパティシエの母の間に生まれる。COMME des GARÇONSにて働き、独特の美意識を学ぶ。2007年、料理家として独立、東京・二子玉川にスタジオを構え、料理教室をメインに活動し、その後2015年に活動の拠点を福岡へ移す。移転後もテレビ、雑誌などのメディア出演の他、全国へ出向いて各地の食材を使った料理会を開催し、その地方特有の食材の新たな表情を提案している。
著作に「5分/15分/30分の料理 シンプルで美しい68の皿」(マガジンハウス)、果物をテーマとした「果物料理」(平凡社)、雑誌GINZAにて2011年5月号から2014年7月号まで連載していたレシピをまとめた「春夏秋冬 毎日のごちそう」(マガジンハウス)がある。