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ソーイング・レメディー making story

CHECK&STRIPEのおとな服 ソーイング・レメディー

making story 04

 

2021年2月27日、CHECK&STRIPEの14冊目となる本が文化出版局より発売になりました。

(こちらのページで販売しています)

この新しい本の発売を記念して、撮影秘話など、貴重なmaking storyを全4回でお届けいたします。

最終回は、前回03の座談会メンバー(フォトグラファーの大段まちこさん、labmiことCHECK&STRIPE代表在田佳代子さん、CHECK&STRIPEのスタッフで、制作進行や小物のデザインを担当しためがねさん、スタイリストの田中美和子さん、文化出版局の編集担当・三角紗綾子さん)に加えて、本書のブックデザインを担当した本田喜子さんをお迎えし、フルメンバーでお届けします!

そして作品の洋服や生地の魅力がより伝わってくる、ブックデザインの仕掛けついて、制作秘話を伺いました。

 

 

ページをめくるたびに見つける「かわいい」

 

 

 

labmi 本書の発売直前、CHECK&STRIPEの公式インスタグラムで中身をチラ見せする「パラパラ動画」をアップしたところ、予約注文が急に増えた!ということがあったんですよ。

 

一同 おぉー!

 

三角 それはうれしいですね。今回の田中美和子さんのスタイリングは、かわいいだけではなくて、小道具にちょっと「可笑しみ」があると思うんです。だから、インスタグラムの動画を見て、「あれっ、今のページ気になる」って思った方が多かったのではないでしょうか。

 

大段 全体を通じて、ハッピーな感じがありますよね。

 

田中 わたしも、ページをめくったときに「あ、面白い」となって、次々にめくりたくなってほしいな、という思いがありました。

 

三角 「パラパラ動画」効果は、きっとそういうスタイリングの妙とか、ブックデザインのリズムの良さが見えてきたと思うんですよ。デザイナーの本田さんから最初にレイアウトが上がってきたとき、拝見してとてもびっくりしました。あちこちに、想定外のかわいい仕掛けがしてあったので。

 

本田 よかったです!

 

ー素敵な仕掛けというのは、たとえばどんなページのことですか?

 

大段 わたしは、作品のインデックスに使われているアルファベットはじめ、使用されているフォントがどれも好きです。

 

本田 ありがとうございます。アルファベットのフォントは、じつはアラビア語のフォントなんです。和文のフォントにもアルファベットのタイポがあるように、アラビア語にもアルファベットのタイポがあるんです。そのタイポがたまたま可愛かったので、「こういう使い方する人はいないかも!」と思って使ったんですけども。

 

一同 ほぉーー(感心)。

 

田中 表紙をめくると、「大きな木べらをもったモデルの女の子」がパターンのようにデザインされた薄紙が入っていて、すごい!凝ってる!と思いました。

 

 

裏テーマは、「ルネ・マグリット」

 

 

 

labmi 今回の本をデザインされるとき、「こんなふうにやってみよう」と思われたことについて、ぜひ本田さんにお話を伺いたいです。

 

本田 最初に、レイアウトを組むための素材をいただくのですが、癒やされる写真がいっぱいで。とても楽しくお仕事させていただきました。とくに、帽子をずっとかぶっているスタイリングが面白いなと思って。そこで、「今回のデザインの裏テーマは、“マグリット”*だな」と、ピンとひらめくものがありました。

(*ベルギー出身のシュールレアリスムの画家)

 

一同 マグリット!(納得)

 

本田 マグリットって、自画像などでもずっと黒い帽子を被っているんですよね。先程お話に出た、見返しの薄いページも、マグリットの作品からのインスピレーションでした。

 

ーたしかに、黒い帽子をかぶった人が、パターンになっているマグリットの作品がありますよね。興味のある方は、ぜひ調べてみてください!

 

大段 帽子からのマグリットだったとは! そういうお話を知ると、面白いですねぇ。

 

labmi 本当に。そして、表紙のタイトルロゴも素敵でした!

 

本田 ロゴについても、絵画からヒントを得ました。マグリットやダリ、ピカソなど、よく絵の右下のほうにある手描きのサインってどれもかわいいんですよ。なので、そういうサインのイメージで作りました。

 

 

生地のもつ力とデザイン

 

 

 

三角 「この本で使用した布」(本書P52~55)というページも、レイアウトを見て感動したひとつでした。田中さんによる、もともとの布選びがストイックだから、並べてもきれいだなぁと思って。

 

labmi わかります。パッチワークのような見え方は、今までの本とはまた違って、素敵な布の紹介ページになったなぁと、とっても感動しました。

 

本田 いろいろな布が隣同士で合わさると、まるで生地屋さんに行ったような気分になるのがいいなぁと思いながら作ったページでした。

 

めがね ページ順に使用した布が並んでいるだけで、なぜかまとまっていますよね。とても新鮮でした。

 

田中 あっ、これって選んで並べているのではなく、普通にページ順の布なんですね!

 

三角 田中さん、今気が付かれたんですね(笑)。純然たるインデックスとして配置しているのに、まるで選んで配置したかのような美しいページになりました。

 

めがね はい。そして、生地の写真だけのページも、素敵でした(本書P43・44)。

 

labmi これも生地屋としてはうれしい仕掛けでしたね。この生地だけのページで、秋冬感を出しているのがすごいなと思って。

 

本田 「生地屋さんだからこそ」の強みというか、生地を敷いてページにしたら絶対にかわいいし、それができるのは

CHECK&STRIPEならではかなと。生地だけのページは、当初からやりたいなと思っていました。

 

labmi そうだったのですね。本田さんのデザインのインスピレーションというのは、ある時ぱっと浮かぶんですか? それとも考えて考えて、考え抜いて?

 

本田 考えて考えて…とすると、わたしの場合、あまり納得のいかないものになってしまうことが多いんです。なので、いただいた素材から影響を受けた最初のノリに、DJみたいにのっていくという感じです(笑)。

 

一同 DJ!(笑)

 

本田 みなさんのクリエイティブとのコラボレーションというなかで、みなさんの気持ちを借りて、DJ感覚で、そこにのせていく? なので「考え抜いて!」というよりは、自分は入り込み過ぎず、臨場感あふれるようにデザインをするのがいいみたいです。

 

ー本田さんは、どの作品の服がお好きでしたか?

 

本田 表4(裏表紙)のお洋服が、いちばん好きでした。森の中の人、という感じで…。

 

三角 森の中の後ろ姿の写真が、「エンディング」というイメージで、とてもいいですよね。

 

一同 (大きくうなづく)

 

 

 

ーということで、全4回にわたってお届けした「CHECK&STRIPEのおとな服 ソーイング・レメディーmaking story」も、そろそろエンディングとなりました。生地づくり、服づくり、本づくり。それぞれのものづくりの人たちの情熱storyも、ぜひ読者のみなさまに届きますように。ソーイングブックを見ながら、布と向き合って手を動かしながら、また思い出していただけたらうれしいです。

 

撮影/大段まちこ 取材・文/井尾淳子

 

 

 

ソーイング・レメディー making story

 

 

 

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