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ソーイング・レメディー making story

CHECK&STRIPEのおとな服 ソーイング・レメディー

making story 03

 

2021年2月27日、CHECK&STRIPEの14冊目となる本が文化出版局より発売になりました。

(こちらのページで販売しています)

この新しい本の発売を記念して、撮影秘話など、貴重なmaking storyを全4回でお届けいたします。

今回はVOL.2のメンバー(フォトグラファーの大段まちこさん、labmiことCHECK&STRIPE代表在田佳代子さん、CHECK&STRIPEのスタッフで、制作進行や小物のデザインを担当しためがねさん)に加えて、スタイリストの田中美和子さん、文化出版局の編集担当・三角紗綾子さんお迎えしてお届けします。

作品デザインやコーディネートなど、聞くとますます作りたくなるし、着たくなる、そんなさまざまなこだわりを伺いました。

 

 

服がからだに合わせてくれるデザイン

 

 

大段 CHECK&STRIPEさんでは、作品のデザインについて、いつもどのように決めているのですか?

 

labmi 本を作り始めるときに、「今回はこういう服を入れたい」という方向性を提案するのですが、そのベースをもとに、チームでデザインを作っていきます。社内である程度決定したあと、今回の本のスタイリスト・田中美和子さんを中心に、文化出版局編集部の三角紗綾子さん、フォトグラファーの大段まちこさんなど、みなさんのご意見やアドバイスを取り入れながら、デザインが進化していった感じですね。

 

めがね 田中さんには、布選びやトワル*の段階から入っていただきました。

(*シーチングで作成した作品を平均的な体型のスタッフに着せ、実際のイメージと照らし合わせること)

 

ー田中さんはじめ、みなさんのアドバイスから進化した作品というのは? とくに印象的なものを教えてください!

 

めがね 印象的なのは、「ダブルボタンのジャケット/コート」(本書P35ページ、46ページの作品)ですね。この作品は、みなさんのご意見をいただいて、当初のデザインよりもかなり袖を太くしました。「この袖の太さがポイントになっていてかわいい」というスタッフの声も多くて、今までにはなかった新しいデザインになったなと思います。

 

三角 「スクエアネックのギャザーブラウス」(本書P30の作品)も、当初より幅を出して、ギャザーを足しましたね。大胆に広げたことで、かわいらしさにカッコよさがプラスされた服になったと思います。

 

labmi そうですね。「ダブルボタンのコート」の袖を太くした時は、「どんな感じになるんだろう?」と、ワクワクしつつもドキドキしました。でも仕上がりを見て、「やっぱりこのバランスだ!」と納得、でしたね。

 

田中 見慣れないデザインだったので、ご心配されていないかと思いましたが、そう言っていただいて安心しました。私の中では、今回の作品は「生地を大胆に、たっぷり使う」ということが、新しいチャレンジになるんじゃないかなと思っていたんです。

 

 

 

 

 

ー田中さんが、今回は「生地をたっぷり使う」というデザインがいいなと思った背景についても、教えてください。

 

田中 はい。生地をたくさん使うことで、服がからだに合わせて「流れる」とか「落ちる」とか、着る人によってかたちが変わってくることを考えました。どんな体型の人が着ても、どれも間違いはないというか。そういう効果が、より「心を癒やす」「リラックス」という、本のテーマにもつながる気がしました。

 

大段 なるほど。服にも「レメディー」効果がありますね。

 

labmi 流行ではなく、着る方の心地よさなどを考えて、アドバイスしてくださったのですよね。ちなみに、スタッフの中で「作ってみたい作品ナンバーワン」は、「フロントギャザーのワンピース」(本書P10)でした。

 

田中 うれしいです。この服は肩線が大胆に肩から外れて落ちているのですが、肩がある人でもない人でも、その人のからだに沿って落ちてくれるデザインです。

 

三角 たしかに、普通に肩が入っているデザインだったら、全然違う仕上がりですよね。この雰囲気は出ないかも。

 

田中 そしてこの作品に関しては、生地選びの時から、「ストライプの柄にしたい!」と思っていました。ストライプを使うことで、肩線が落ちているところや切り替えのところなど、デザインの面白さがより強く、わかりやすくなると思ったので。

 

 

重ねるコーディネートの愉しさ

 

 

 

三角 田中さんのおっしゃる「生地をたっぷり使う」というのは、手作りならではの贅沢な喜びですよね。既製品の洋服の中には、あえてギャザー分量を控えめにするなど、生地の用尺をなるべく少なくして販売しているものも多いので。

 

labmi そうですね…。ご自身のためだけの洋服を、たっぷりの生地を使って作っていただくことの素敵さ、というのでしょうか。てづくりだからこそできることですね。

 

ーとくに今の状況下で、おしゃれをして外出をする機会が減ってしまっていますしね。良い生地にたくさん触れて手作りをするという時間は、こころを満たしてくれるように思います。

 

田中 もし「こんなに生地を使うの?」と心配される読者の方がいらしたら、今回の作品の、もうひとつのいいところをぜひお伝えしたいです。それは、「いかようにも重ねられる」という点。生地の量はたしかに使いますが、1点作るだけで、コーディネートの幅はすごく広がると思うんです。

 

大段 たしかに、今回の田中さんのスタイリングは、かわいい重ね着のコーディネートが特徴的ですよね。表紙の「ストライプ+花柄」とか、大きさの違うチェックを重ねる、とか。

 

ー柄と柄の組み合わせは難しいですが、「これなら出来そう!」というコーディネートがたくさんでした。

 

三角 そうですよね。私は、微妙な白のグラーデーションの重ね着のコーディネートを最初に見た時、「これは思いつかなかった!」と思って感動しました(本書P45 ハーブのラップコート+スクエアネックのギャザーブラウス+フローラルパンツ)。

 

大段 あれも素敵ですよね。

 

田中 組み合わせをいろいろ変えられるので、長く着ることができるのではないでしょうか。1着作るだけでも、きっと活躍の場は多いと思います。ぜひ重ねていくコーディネートを愉しんでいただきたいですね。

 

ー作り手の人の思い、こだわりを知ると、ますます実際に作ってみたくなりますね! 

 

続く最終回04では、『ソーイング・レメディー』の世界をさらに素敵にする魔法、装丁デザイン担当のデザイナー・本田喜子さんをお招きして、ブックデザインのmaking storyを中心にお届けします。お楽しみに!

 

撮影/大段まちこ 取材・文/井尾淳子

 

 

 

ソーイング・レメディー making story

 

 

 

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