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しあわせなお店めぐり 「神戸」

 

03 「おなかいっぱい!」の声が聴きたくて

 

 

 

「このお店の近くに暮らしていて、本当によかった!」

大好きなお店がご近所にあるというしあわせに、ちょっと大げさ?かもしれないけれど、

こころが震えるほど、嬉しくなってしまうことはありませんか?

ひとりでも行きたい。

大切な人とも行きたい。

CHECK&STRIPEの本拠地・神戸にも、そんな大切なお店がたくさん。

編集部自慢のFavorite Shopについて、ご紹介します。

 

 

  味加味

 

  

 

神戸・三宮駅近くにある定食屋「味加味」は、CHECK&STRIPE のスタッフはじめ、labmiさん(代表・在田佳代子さん)の御用達。ご家族もみんな、味加味さんのごはんのファンという、長い長いおつきあいなのだとか。

「CHECK&STRIPE神戸店(移転前の北野の店)のOPEN準備のため、毎晩遅くなる日々が続いていた時のことです。味加味という店に、サッカー選手の三浦知良(カズ)さんがよくいらしている、との噂を聞きつけました。その頃からカズファンのわたし。“こころと体の栄養補給に、そのお店に行ってみよう!”と、思ったのがきっかけです」(labmiさん)

早速お店を訪ねてみると、猫がいたり、外には大きな犬小屋があったり。その日はライブもあって、「なんて楽しいお店!」と、すっかりファンになってしまったそう。

「絶対食べたい、定番メニューはなんですか?」と聞くと、「いろいろありますが、私の定番は、やっぱり“えびしいたけ定食”です!」と、即答のlabmiさん。

 

 

 

 

こちらがウワサの「えびしいたけ定食」(1300円/税別。ミニサイズは1000円/税別)このボリュームで、うどん(または蕎麦)付き! 肉厚でジューシーなしいたけに、粗くたたいた海老がたっぷり。labmiさんのいうとおり、たしかにやみつきになりそう!

「大きなしいたけとえびに衣をまとったカツ。そしてたっぷりのキャベツとごはん。それだけでもかなりのボリュームなのに、おうどんもついてきます。“えびしい”は塩で、キャベツはドレッシングがかかっていますが、わたしは専用のソースをつけていただく派。“ごはんに、さらにうどん??”というのもびっくりでしたが、とにかくこの“えびしい”が絶品なのです」(labmiさん)

うーん、聞いているだけで美味しそう! さらに「ほかのみなさんの定番は?」と聞いてみると、返ってきたのはこんな答え。

「おネギどっさりの鰹のたたきとか……。オムライスやハンバーグ、カツ丼……。お客様をお連れする時は、必ず、生ハムとパルミジャーノ・レッジャーノのパスタをオーダーします。生ハムは大きな足つきの塊をご主人がテーブルでカットしてくれます。パスタは奥様が大きなチーズを席に運んでくださって、そのチーズの窪みの中でパスタが出来上がるというパフォーマンスも楽しい! 孫たちもいつも、目をパチクリさせて見ています(笑)」(labmiさん)

 

 

 

 

えっ、定食屋さんなのに、イタリアン? 洋食? 中華? そして、うどん屋さんでもあるの? 

一瞬混乱した私ですが、今から30年前にこのお店をはじめたという、マスター・垣谷定道さんのお話を聞くにつれ、その謎は一つひとつ、解けていったのでした。

垣谷さんは、昭和20年生まれ。「戦後の時代ながら、商店を営むハイカラな家庭に育ちました。母親が料理がうまかったんです。当時の人にとってはほとんど馴染みのなかった、ハンバーグだとかローストチキンだとかが、普通に食卓に出てきました。それが、私の家庭の味だったんですよね。そして父親にも、いろいろな店に連れていってもらいました」(垣谷さん)

社会人になった垣谷さんが最初に勤めたのは、日本モービル石油の外資系子会社。仕事がら世界各国をまわり、本当に数多くの食体験をされたのだそうです。

「ごはんの神様」に愛された人生。きっとそれが、今のお店へとつながっていったに違いありません。

 

 

 

 

店内には、オープン当時のお店の前で(現在は移転)、ともにお店をやってきた奥様との2ショット写真が飾られていました。

若かりし頃のちょっとやんちゃな事情によって、無一文から飲食店を立ち上げるに至った垣谷さん。「最初は、うどん屋のようなシンプルな店なら、自分にもできるかもしれないと思ったんですけどね。甘かったですね(笑)。お金をいただく以上は、お客さんが納得するものを追求しないとダメだ、と改めて思いました、そこで神戸のいろいろな店を尋ねて師匠を見つけては、味の基本を教えてもらいました」

うどん・そばのメニューが豊富なのは、そういうことだったのですね!

 

 

 

 

マスターの人柄と、研究した味と。それがやがて評判を呼び、「一杯飲んでごはんも食べて、家に帰りたい」という、仕事帰りのお客さんのリクエストが次第に増えていったのだそう。

「うどんやそばだけでは、その声に応えられないなと思いまして。そこからまた、いろんな料理を学びながら、“今日はお肉の日ですよ”とか、“今日は魚の日ですよ”とやってたら、どんどんメニューが増えていったんです(笑)」

そして現在の味加味には、洋食やイタリアン、和食など、名店での経歴を持つ料理人スタッフが、なんと4人もいるのだとか! けれど、「その経歴をひっくり返すのが自分の役目」という垣谷さん。経歴やブランドも大切。でも、それだけでは味も発想も似通ってしまうし、本当に喜ばれる料理はできない、というのが持論。

「難しいことは考えなくていいから、庶民的で、いつでも美味しいものを作りなさい、と伝えています。昔、うちに芸大出身の生意気な従業員がいてね(笑)。独立して自分の店を出したんですけど、ある朝店に行ったら、その彼が描いた、私の似顔絵の看板が置いてあったんです」

それは、「マスターに言われたことが、身に沁みてよくわかった。お世話になったお礼と、生意気だったお詫びです」という理由から。そんないわくつきの看板。今はお店のトレードマーク的存在です。

 

 

 

 

写真は、サッカー選手のカズこと三浦知良さんのサイン。ヴィッセル神戸所属時代にマスターとご縁がつながり、今も神戸に訪れた際はご家族と来店されるのだそう。

冒頭でも触れたカズファンのlabmiさんも、「最初にお店に来た時、このサインをしかと確認して、さらに味加味が好きになりました」とのこと。

 

 

 

名物マスターとして、神戸の街の人々に愛される垣谷さん。今は料理人の仕事は引退し、跡を継いだ一人娘の有香さんをお店の中からサポートしています。

「お店のこれまでを振り返って、いかがですか?」ちょっと真面目な質問すぎたかなと思いつつ最後に尋ねてみました。すると、

「なんでこんな大変な商売はじめたんやろうと思います(笑)」(垣谷さん)

「大変なので、早く引退したいです(笑)」(有香さん)

父娘そろって、なんというツンデレ発言(笑)。そのコンビネーションに思わず笑ってしまいましたが、お二人の表情はぴかぴかに晴れやか。「きっと、お店のことが大好きなんだ!」と確信。

だから今日も明日も明後日も。どうかずっと、街のみんなのおなかを、「美味しい!」でいっぱいにしてあげてくださいね。

 

 

味加味

神戸市中央区中山手通1-22-23

078-242ー5200

営業時間 

まん延防止等重点措置、緊急事態宣言に伴う期間中は、以下の通り。

ランチ 11:30~15:00

ディナー 17:00~20:30(L.O. 20:00)

テイクアウト 11:30~14:30 17:00~21:00(L.O. 21:00)

定休日

火曜

https://www.mikami.co

https://www.instagram.com/yuka2785/

写真 大段まちこ 取材・文 井尾淳子

 

 

 

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